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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



「梨央さんて結構バ……抜けてるんですね」

「あ!今バカって言おうとしたでしょ!?そんなに冷たいと、汐里ちゃんに嫌われちゃうよ!」


……。


あー…、やっぱ嫌だ、この人…。
無遠慮に痛いところをガンガン突いて来るこの感じ…。

ほんと、ある意味黒尾さんとお似合いだ。


「もう嫌われてるんですよ、残念ながら…」


赤葦さんしか見えていない汐里に苛立ち、赤葦さんに対しては心の奥底で妬む気持ちすら潜んでいる。

汐里をまた傷つけた、きっと嫌われた…と悟った時。
この感情はもう抗えない程に、ズンと心にのし掛かったままだ。




誤魔化しきれない所まで来てしまったと、ようやく気づく。



僕は……




「はぁ…。認めたくなかったんですけど。辛くなるから」




汐里が…好きだ―――。







「あなたのせいです」


こんな出会ったばかりの人のせいで認めざるを得なくなるなんて。
ましてや、自分の気持ちを白状するなんてこと…。
どうかしてしまったとしか思えない。


梨央さんに責任転嫁した上、難題を押し付ける。


「慰めてください」


「うん。……あ、じゃあケーキ食べる?」


厨房へと入り、お皿に乗った苺のショートケーキを運んでくる梨央さん。
艶やかな赤い果実と、真っ白のクリーム。
いつもなら気分が高揚するそれも、今夜はそう簡単にはいかない。


でも……


梨央さんが要注意人物なのは間違いないけど、この人の作るケーキは、実のところ気に入っている。


「あとは、何して欲しい?」


「食べさせて」


腹いせに少し困らせてやろうとそう口にすれば、さほど躊躇う様子もなく僕の口元にフォークを当ててきた。


うん、やっぱり……



「美味しい…」



程よく甘いクリームと、弾むように柔らかなスポンジ。
カクテルで騙そうとしても無駄だった黒い感情は、少しばかり様子を変えた。

僕にはアルコールよりも、甘いケーキの方が効果的だったみたいだ。



まさか、汐里に恋をするなんて。



苛立ちや妬みが消え失せたワケではないけど、それよりも自嘲する気持ちが上回り、密かに呟く。





「バッカみたい」




さて。
これから僕は、どうしようか。





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