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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



やっとのことで到着した場所で、手分けして準備を始める。
ゴールデンウィークということもあり、周りには家族連れや男女のグループなんかも多い。

バーベキューをする時に火を起こしてくれるのは、いつも赤葦さん。
この人には出来ないことなんてないんじゃないかってくらい、なんでも出来る。
そんな赤葦さんに何やら親しげに話し掛けてる梨央さん。



最初に会った時から思ってたけど。
黒尾さんと梨央さん、ただの友達じゃないよね?
いつも黒尾さんが女の人にしてる接し方と違い過ぎる。
梨央さんの方もやけに距離近いし。

いわゆる、恋人未満ってヤツ?

二人の空気を察しながらもイタズラ心に火が着き、黒尾さんを煽ってみる。


「なーんかアソコ仲良くしちゃってるけど。黒尾さん、いいんですか?」

「いいんじゃね?楽しんでんだから。それに赤葦彼女いんじゃん?別にどうもならねーだろ?」

相変わらずのシレッとした態度、全くダメージなし。
チッ、つまんない。
この人、嫌味も煽りもなかなか通用しないんだよね。
いつか悔しがる顔を拝みたいもんだ。


そんなどうでもいいことを考えている傍ら、会話の中に赤葦さんの静かな声が挟まれた。




「あー、俺。別れましたよ、彼女と」




―――手にしていた野菜が滑り落ちそうになった。


思わず、淡々と火を起こす赤葦さんの姿を凝視してしまう。


「……マジで?」

「はい。三ヶ月くらい前ですかね」

「え!?何で何で!?」

「仕事で中々会う時間取れなかったりで。寂しい思いさせちゃったんですよ」

黒尾さんと木兎さんに代わる代わる問われながら、感情の読めない声色でいつもどおり返している。




別れた…


そっ…か……



それなら、もう誰に遠慮することもないじゃん。
彼女に対して後ろめたさを感じる必要だってない。

しつこく好きでいた甲斐があったんじゃない?
赤葦さんが相手にしてくれるかは知らないけど、デートに誘うなり、告白するなり、好きにすればいい。


この前半泣きだった汐里の顔を思い浮かべながら、そんなことを思う。



でも…


何だ……?




汐里の恋に障害がなくなったとわかった途端、妙に胸がざわつく。




どうしてこんなに気持ちが焦れるんだよ―――?




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