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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



「これ、あげる」

ツッキーの手の中にあるのは、レストランのディナーチケット。
駅前のホテル内にあるお店のものだ。
最上階の店内は天井まで続く大きな窓が特徴で、夜景も満天の星も一望できる。
間接照明をふんだんに使ったシックな空間は、雰囲気があってお洒落。
前の彼氏と、記念日に一度訪れたことがある。


「どうしたの?これ」

「この前駅ビルのクジ引きで当たった」

「ほんとに?ツッキー、クジ運いいタイプ?」

「わかんないけど…2等だった」

「すごーい!ここ、お料理高いんだよ?貰っちゃっていいの?」

「いいよ。3等のお米狙って引いただけだし。ペアで使えるから誰か誘って行けば?」

「あ、じゃあ私と一緒に行こうよ」

「え?」

「だって、ツッキーが当てたんでしょ?」

「……」

ツッキーのクジ運のおかげなのに、私だけが美味しいもの食べるなんて悪い。
せっかくのペアチケットなんだから。
そう思って提案したんだけど、ツッキーは変な顔してる。

「汐里と…?」

「何?嫌なの?」

「嫌…じゃないけど」

「じゃあ行こ。今日行こ!」

「今日?」

「何か用事ある?」

「ない」

「決まり!何時なら大丈夫?」

「…じゃあ6時?」

「わかった。ツッキーんち行くから、また連絡するね」


思いがけず美味しいコース料理を食べられることになり、私はホクホクしながら待ち合わせまでの時間を潰す。

お洒落なお店だから服は綺麗めのワンピースにして、アクセサリーはパールの上品なもので揃えよう。
髪はハーフアップで、メイクは…

なんて考えているうちに、ふと気づく。


こんなお洒落して、雰囲気のいいレストランでディナーって。

まるで、デート…みたいじゃない…?

もしかしてツッキーが変な顔してたのって、そういうこと…?


……。

いや、違うから。
デートじゃないから、これは。
ただの食事、晩ごはん。
そう、相手がツッキーなんだから、ラーメン屋さんに行くのと一緒だし。

深く考えたらダメだ。
またツッキーに「僕のこと意識してるの?」なんてからかわれる。
ただ美味しいコース料理を楽しむことだけ考えよう。


慌ててスマホを手に取り今夜行くレストランを検索し、画像に映る料理で頭をいっぱいにすることに努めた。


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