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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



俺たちはお目当てのジェットコースターに乗り、バイキングに乗り、もう一度別のジェットコースターに乗り。
絶叫系を立て続けに制覇する。
もちろんそれぞれに待ち時間があるから、時刻はあっという間に昼を過ぎてしまう。

俺の思惑どおり…というわけではないのだが、ネズ耳は既に忘れ去られ、ショップバッグに入れられたまま。




昼食を終えたあとは、絶叫系は一旦休憩して別のアトラクションに乗ろう、ということになった。
パーク内の地図に視線を落としながら歩いていると、お化け屋敷に並ぶ列が見える。
木兎さんもそれに気づいたようで、キラキラと目を輝かせた。

「あれ、入ろうぜ!」

「え。お化け屋敷ですか?」

「なんだよ赤葦、怖いの?」

「怖くはないですけど…ああいうのって子ども騙しなんじゃ?」

「甘いね!ここのお化け屋敷は怖いので有名なんだよ!機械でガタガタ動かすんじゃなくて、ちゃんと従業員がお化け役やってんの!」

「へえ…」

お化け屋敷ってあまり入ったことはないけど、恐怖を感じた記憶はない。
というか、遊園地自体何年かぶりに訪れたのだ。
遥ともこういう場所にデートに来ることはなかったし、新鮮と言えば新鮮だ。




遥と別れてからは、職場と家との往復の日々。
休日はその名のとおり、体を休めるためにしか使っていなかった。

非日常の場所。
一緒に過ごすのは、慣れ親しんだ木兎さんと汐里。
過度な気遣いもいらないし、いい気分転換になっていると思う。



先陣切って並ぶ木兎さんの後に付いて、俺と汐里も歩き始める。
待ち時間は30分程度。
世間は春休みだけれど、賑わうお客さんのわりには早く入れそうだ。

順調に列を縮め、あと二組で俺たちの番、という所で…
さっきまで弾むように話をしていた木兎さんが、突然唸り声を漏らす。


「う…、なんか腹痛てぇ…!」


「え?大丈夫ですか?」


見上げてみれば、眉間にシワを寄せ青白い顔をしている。

「便所行ってくるわ!」

項垂れて苦悶した表情をしながら、直ぐ様走り出す木兎さん。
さすが現役プロスポーツ選手と言うべきか…足が速い。
あっという間にその姿が点になる。

「大丈夫ですかね?」

「昼に激辛ラーメン食ったからだろうね」

「ああ、そっか…」


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