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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



赤葦さんて、ほんと礼儀正しいというか…
気配りの出来る人だな。
傷に巻いたって言ったってガーゼの上からだったし、そんなの全然気にしないのに。


「ありがとうございます…」


ゆったりとしたスピードで赤葦さんが車を出す。
手にしていたピンクのハンカチをバッグへしまい、紙袋に包まれたそれをジッと見つめた。

「これって赤葦さんが選んでくれたんですか?」

「そうだけど。ごめん、センスないかも」

「いえいえ、そういう意味じゃなくって!開けてもいいですか?」

「うん、どうぞ」

そっか…赤葦さんが選んでくれたんだ…。
もしかして遥さんが?なんて思ったから、何か嬉しい。

「わ、可愛い!」

綺麗なクリームイエローの布地に、春らしいマーガレットの花が四方を縁取るようにプリントされている。

「あれ?このブランドって…」

「ハンカチ売場にさっきのピンクのと同じブランド入ってたから。一緒のとこのにしたんだけど」

「嬉しい!好きなんです、つい集めちゃうくらい!」

「ほんとに?」

そう言って、信号待ちの合間に少しだけこちらを向いて笑ってくれる。


「それ見付けた時、何か汐里のイメージに合うな、って思ったんだよね」


「え…」


「気に入ってもらえたなら良かった」


「……」


イメージ…って…
どういう…?


そこを知りたい気持ちももちろんあるんだけど…。
何か今、凄いことを言われた気がする。
だってそれって、私のいないところで私を思い出してくれてたってこと…だよね?

例えそれがほんの一瞬だったとしても、どうしようもないくらいに嬉しい。




赤葦さんは狡い人だ。
私が赤葦さんのことを好きだと知ったら、きっとあなたは困るでしょう?
それなのに、こんなにも嬉しい言葉や笑顔をくれるんだもん。
どうにか気持ちを悟られないようにしなきゃって、私はいつも必死なんだから…。


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