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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



「ニヤニヤって…」

「あー…じゃあ、ニコニコ?怒ったり拗ねたり笑ったり。忙しいよね、汐里って」

「バカにしてるの?」

「は?別にしてないよ。そういう裏表なくて、正直で明るいのがキミのイイトコなんじゃないの?……たぶん」

「……」



"お前は裏表なくて素直で明るいし"

"そういうイイトコ、ちゃんと見てくれる奴いるよ"



……待っ……

ちょっと、

待って……

何で今、テツさんの言葉が出てきた…?

ツッキーが恋愛対象とか…


いやいや!ない!ないって!




突如意識してしまうツッキーの存在。
それが無性に恥ずかしくて…
言葉が出てこない。


「汐里はさ、」


「え?」


「まだ赤葦さんのこと、好きなの?」


「……」


思考が止まった。

他人の恋愛なんてまるで興味なさそうなツッキーに、こんな質問をされたことに驚いて。
しかもからかって聞いているわけではなさそう。


「……好き、だよ……」


どんなに抗っても、好きだという気持ちは簡単になくなってはくれない。
だから今までどおり、赤葦さんへの想いは胸の中に閉じ込めとく。
赤葦さんにも遥さんにも、迷惑かけたりしないように。
ちゃんと友達やるって決めた。


そんな私の心中なんてお構いなしに、ツッキーは言う。


「へぇ。しつこいよねぇ、彼女いるのに」


容赦なく私の胸を刺す、棘のある言葉。


「……」


やっぱり、意地悪だ。



「言われなくたって自分でも分かってるよ、そんなこと…。でも私がこの2年どんな気持ちでいたかなんて、ツッキーには分からないでしょ?
何度も何度も、もう好きじゃないって思おうとしたもん…!いっそのこと嫌いになれたらとさえ思った!
それでもダメだったんだからしょうがないじゃない!私、赤葦さんを遥さんから盗ってやろうなんて思ったことないよ!?それなのに、好きでいるのはそんなにいけないこと?
やっぱりツッキー、優しくなんてないよ!」


何だか赤葦さんへの気持ちを責められてるみたいで。
軽蔑されてるみたいで。
悲しくて悔しくて、どうしようもない。


でもツッキーの言ってることはもっともなんだ。
こんな風に言い返すのもおかしいって、頭のどこかではわかってる。
それなのに、感情が先走って自制出来ない。


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