• テキストサイズ

フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



唇を尖らせる光太郎さんを横目に、またフフっと笑みが溢れた。

「で、いつ行くんですか?」

「来月。黒尾も行く?」

「俺はパース」

手をパタパタ振るテツさんは、また何杯目かのお酒を追加で頼んでいる。



3人で遊園地に行く日は、3月の下旬。
その頃には、少しは暖かくなってるかな?

次に会う時までに、ちゃんと気持ち切り換えよう。
赤葦さんへの気持ちはまた閉じ込めて。
叶わない恋に囚われてちゃいけない。
仕事も頑張って、ちゃんと女子力ってやつを磨こう。
料理も男の料理みたいなのじゃなくて、たまには家庭的な和食とか挑戦してみる…?


沈みきってた気持ちが、ほんの少しだけ浮かび上がる。
今日、テツさんと光太郎さんがいてくれたおかげだ。
優しくて頼りになる友達がいるって、十分恵まれてる。


「よーし!私ピザ頼んじゃおっかな!」

「こんな遅くにピザとか、胃もたれしねぇ?」

「しない。テツさんおじいちゃんみたい」

「そうそう、黒尾肉より魚派だしさぁ。ジジイの始まりだよな!」

「そこ!せめてオジサンって言って!?それに魚派は関係ねーだろ!」

光太郎さんとテツさんイジリして、お腹いっぱい食べて、カラオケでいっぱい歌って発散して…
それから終電に間に合うように、二人とさよならした。



夕方から降り始めた雪はいつの間にか雨に変わっていて、やむ無くコンビニで傘を買った。


赤葦さんともこんなことあったな…。
あの時は急に雨が降ってきちゃってコンビニの傘がひとつしかなくて、相合い傘したんだっけ。
寒いからって、マフラー貸してくれて。


赤葦さんに失恋した、2年前の2月。
あの時も痛かったけど、今日も胸が潰れるほど苦しかった。


赤葦さんと、遥さん…。


話を聞くのと姿を見てしまうのとでは、まるで違った。
遥さんは凄く素敵な大人の女の人って雰囲気で。

やっぱり私は赤葦さんの恋愛対象ではないな…って、自分が惨めになった。
考えてみたら、こんな思考自体おかしい。
彼女がいる時点で、既に私は恋愛対象なんかじゃないのに。



一人きりで歩く帰り道は、また余計な感情を引き連れてくる。

でも、私のいいところを分かってくれる人がいるって、テツさんたちも言ってくれた。

また明日から。
そう、明日からちゃんと頑張れば、それでいいよね?



/ 680ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp