第5章 glass heart【赤葦京治】
「お前は裏表なくて素直で明るいし、いっつも笑顔でこっちまで元気出るしさ?そういうイイトコ、ちゃんと見てくれる奴いるよ。それに、自分が辛い時にまで人の気持ちを考えられるって、出来そうで出来ねーよ?」
「つーかさ、赤葦だって汐里のイイトコくらい、とっくに分かってるって!だから胸張って友達やれ!な!」
「…はい」
悲しいけど、嬉しいな…。
こんなに親身になってくれる人たちが、付いていてくれることが。
「よーし!飲み終わったらカラオケ行くか!」
「お前、ほんとカラオケ好きだね」
「こういう時はストレス発散した方がいいだろ!?なあ、汐里?」
「そうですね…。うん、行きましょう!」
「そうこなくっちゃ!…ん!?そう言えば!」
ジョッキを傾けてゴクゴクと生ビール流し込んだ光太郎さんが、何か思い出したように声を上げた。
「俺、遊園地行きたくてさぁ!」
「……」
「……」
この人が脈絡もなく話題を変えるのはいつものこと。
私もテツさんも、取り合えず話を聞く。
「赤葦誘ったんだよ!」
「何でだよ。女誘えよ」
「誘える女いたら誘ってるっつーの!!で、赤葦も男二人で行くのか?って変な反応でさ」
「いや、そりゃそうだろ。ただでさえ男二人で遊園地なんて不気味なのに、自分たちの身長自覚してる?悪目立ちするよ?」
「いーじゃん別に。俺人の目とか気になんねーし!」
「付き合わされる赤葦の身にもなれ」
「まあ、うん。赤葦にもそう言われて。だったら汐里誘おうぜ!って言っちゃったんだよな…」
光太郎さんがチラッと私を窺う。
「マズかった…?あ!嫌ならさ、断ってくれていいから!」
一生懸命気を遣ってくれてる光太郎さんに、思わず頬が緩んだ。
ほんとにいい人だ。
胸張って友達やれって、そう言ってくれた。
そうだ…友達なら、フラれることもない。
みんなと同じように、この関係が続く限りは一緒にいられる。
赤葦さんの隣には並べなくても。
「いいですよ。遊園地、楽しそう!」
「マジで!?無理してね!?」
「してません。それに光太郎さんと二人でデートなんて、赤葦さん可哀想だもん」
「何!?お前まで失礼だな!!」