• テキストサイズ

フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】




「ごめん、連休なんだけど…。休み取れそうにないんだ…」

『え?夏に旅行できなかったから、楽しみにしてたのに…』

「仕事出なくちゃいけなくてさ…」

『……』

「ほんと、ごめん…」


秋の連休は空けておく、なんて約束してしまったけど。
仕事が多忙で、休みを取れる状況ではなくなってしまった。

遥をガッカリさせることは歴然。
そう覚悟し、重い気持ちを抱えながらの電話。
案の定、電話越しの遥の声が沈む。


どこで埋め合わせできるだろう?
仕事があるのはお互い様だし、纏まった休みなんてそうそう取れそうにはない。


もう、年末年始しかその機会はないか…。

そう提案しようとした、その時―――。




『本当に、仕事なんだよね…?』




思いもよらない言葉が、耳元で聞こえた。


「……」


俺の…聞き間違いか…?



「え…?何て?」


『だから…、仕事なんだよね?って』


「そうだよ…」


『……じゃあ仕方ないよね。……頑張ってね』



何だ……?

遥との間に、ぼんやりとした違和感が浮かび上がる。

そう言えば最近は、会っていてもどこか心ここにあらず、って感じで…。



"本当に、仕事なんだよね…?"



遥を不安にさせてる。


まざまざと、そう感じる。



通話をオフにしたあと、ボーッとしたまましばらく液晶画面を眺める。ふと暗くなったそこには、強張った顔の俺がいた。




俺に出来ること…。
年末は、ゆっくり二人の時間を作ろう。
それから出来る限り連絡もマメにして…。


そう心に決め、俺はまた仕事に追われる毎日を淡々と送っていった。












やっと訪れた年末。

今度こそ、この休みを使って二人で旅行するつもりでいた。
けれどそれを遥に提案すると、俺がいつも忙しくしているからか、二人でゆっくり過ごせればそれでいいと言ってくれた。



午後から落ち合い街に出て、適当なカフェでランチをして…
本当に、普通の休日と変わらない。
それでも遥は、久しぶりに楽しそうに笑ってくれている。
遥には我慢させてばかりいるから、その笑顔を見て無性に安心感を覚えた。


/ 680ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp