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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



理科室で実験の予定が組まれていた、理科の授業。
始めの数十分は座学を行い、いざ実験の時間になった時、教科担任が実験に使う物品が足りないと言い出す。

『赤葦、悪いが一緒に来てくれ』

教卓のそばの席だった俺は名指しされ、先生と共に少し離れた第2理科室へ向かう。
足りない物品を大きめの段ボールに入れ、先に戻るよう指示された。


各学年の教室からは離れた校舎。
静かな廊下を歩いていくと、突如ガラスの割れる音が耳に届く。
途端女子の悲鳴が上がり、男子生徒の怒号が響き渡った。

騒ぎの元は、間違いなくさっきまでいた理科室から。
足早にその場所へ戻り、部屋の引き戸を開く。

目に飛び込んできたのは、掴み合いの喧嘩をしている二人の男子。
床には無惨に割れたビーカーや試験管の破片が飛び散っている。


『ふざけんじゃねーよ!!てめぇが盗んだんだろ!!』

『知らねぇって言ってんだろ!!俺だって証拠でもあんのかよ!?』


どうやら、財布を盗む盗まないという物騒な話が事の原因らしい。
この二人は普段から素行が悪く、クラスの悩みの種。
だが、授業中喧嘩にまで発展するのは今日が初めてだ。

『ああ…、赤葦、頼むよ!俺たちじゃどうにもならなくてっ…!』

クラス委員ということもあり頼られる場面も多々ある俺だけど、喧嘩の仲裁なんてしたことはない。
それでもどうにかして止めなくちゃならない訳で…


『おい、何してんだよ!』


二人の中へ割って入る。
俺の存在は見えていないようで、一人が拳を振り上げ、もう一人を殴ろうとする。
咄嗟にその腕を掴んで止めた。

邪魔されたのが気に食わないのか、そいつの視線がようやく俺を捕らえる。


『とにかく落ち着けよ』


睨みながら諭したところで、俺の手は乱暴に振り払われた。


『うっせーな!優等生は引っ込んでろよ!!』


頬に衝撃が走ったと思った次の瞬間、体が投げ出される。
殴り飛ばされたのだと何とか理解したが、すぐには起き上がれない。



『きゃあぁぁっ…!遥…っ!!』



気づけば俺は、誰かを下敷きにしていた。


慌てて上半身を起こしてみると、そこには床に倒れ込んだ秋本さん。



そしてその体の下には、割れたガラスと滴る鮮血が…



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