第5章 glass heart【赤葦京治】
「俺は何でダメなの!?物静かな感じでも王子様でもねーよ!?」
「光太郎さんは…」
きっと、賑やかし過ぎるから?
ハイテンションに付いていけなさそうだから?
って思うけど、ここは…
「オーラですね」
「オーラ?」
「スターのオーラが出ちゃってるんですよ。言うなれば、高嶺の花ってやつです」
「スターの…オーラ…」
光太郎さんは黙り込み、あらぬ方向へ目を向ける。
…ちょっと無理あった?
いくら光太郎さんでも、こんなおだて方ってわざとらしい!?
反応のない光太郎さんを見ている横から、ツッキーがボソッと呟く。
「オーラって何?胡散クサ…」
「え…やっぱそうかな?じゃあ何て言うのが正解?」
「うるさ…テンション高過ぎるからデショ?」
「それ言ったら光太郎さんヘコまない?」
「確実にショボくれるよね。汐里が正解。ほら…」
赤葦さんとツッキーとで、もう一度こっそり様子を窺ってみる。
そこには、目をキラリと輝かせて満面の笑みを浮かべる光太郎さんがいた。
一気に機嫌が上り調子になったのがわかる。
「そっかそっかぁ!オーラかぁ~っ!女の汐里が言うんだから間違いねぇな!!」
「「「……」」」
さっき拗ねてた人が、もう上機嫌。
単純…いやいや、素直で可愛い人だ。
年上なんだけど、まるで弟みたい。
「この短期間で木兎さんの扱い方習得するなんて、やるね」
「いえいえ、赤葦さんほどじゃありませんけど」
イタズラっぽく笑えば、赤葦さんも目元を細めてくれる。
そんなやり取りをしている中、声高の光太郎さんが間に入ってきた。
「じゃあさ、赤葦!俺、なるべくオーラ出さねぇようにするわ!」
「オーラってコントロール出来るんですか…?」
「根性でどうにかする!」
光太郎さんはいつものように底抜けに明るい笑い声を上げながら、赤葦さんの背中をバシバシ叩く。
ほんと赤葦さんのこと好きなんだなぁ、なんて微笑ましく見ていた、次の瞬間のことだった。
「だからさ、今度は連れてこいよな!
遥ちゃん、だっけ?お前の彼女!!」