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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第5章 glass heart【赤葦京治】



「ツッキーの家、もしかしてこの辺?」

「そうだけど…」

「そうだったんだ…!私もだよ。実家なんだけどね、歩いて10分くらい」

「へぇ…」

「すごい偶然だね!全然知らなかったよー」

喋りながらカゴの中の物を袋詰めしていく。
最後に板チョコをごっそり掴んで、エコバッグの中へ。

「ちょっと…チョコどんだけ買ってんの?もしかしてバレンタイン用?」

ギョッとした顔で私の手元を見てるツッキー。

「そうだけど。あ、ツッキーにもあげるね?トリュフ作るから」

「いや、いいよ。汐里の作るものとか不安」

「しっつれいしちゃう!溶かして固めるだけなんだから変なことにはならないって!」

「溶かすとかいいから、むしろ板チョコのままくんない?怖い」

「怖いって何?板チョコのままって…そんな色気ないチョコでいいの?」

「いいよ色気とか」

「いつもはガサツって言うクセに」

そりゃ私は不器用だし、ツッキーにはガサツ扱いされてるけど。
さすがにバレンタインに板チョコあげたことなんてないもん。

プイッとそっぽを向くと、背中にツッキーの声が届く。


「もしかして、本命も手作りするの?」


予想外の質問に思わず振り返り、ツッキーの顔を見上げた。


「…本命?いないよ、そんな人」


「へぇ…赤葦さんのこと、好きなんだと思ってた」


「……」


「違うんだ」


え…

私が…赤葦さんを…?

ツッキーには…そう見えてたの…?


いつから?何で?どこを見て?





私の返事も待たず、ツッキーは店の出口へと歩いて行ってしまう。

「ツッキー、待って!」

「何?」

足を止めてはくれないから、後を付いていく。

「どうして、私が赤葦さんのこと…って、思ったの?」

「なんとなく」

「何それ!」

ワケわかんない…。
そんな…私の気持ち勝手に想像されて。
それを、"なんとなく" だなんて…。

モヤモヤした思いをツッキーの背中にぶつける。
するとモヤモヤが届いたのか長い足は一旦動きを止め、眼鏡越しの瞳が私を見下ろした。


「っていうかさ、いつまで付いてくんの?」


「付いてってるワケじゃないもん!私の家もこっちだし」


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