第5章 glass heart【赤葦京治】
年が明けて、新年会と称してまた光太郎さんの家で飲み会。
相変わらず悪ノリする光太郎さんとテツさん。
年下のはずの赤葦さんが、突っ込んだりお世話してたりして…。
高校時代からの付き合いだって言うし、当時からこんな感じだったのかな?なんて、そのやり取りを見ながら思う。
テーブルの上の食べ物や飲み物が程よくなくなって、洗い物もおおかた済ませたところで、光太郎さんが声を上げた。
「何か肉まん食いてーなぁ。あと、アイスも!」
「まだ食うのかよ?でもアイスはいいな」
「おっ、やっぱそう思う?コンビニ行くか。食いたい人~!」
光太郎さんに聞かれ、思わず手が上がる。
あ、赤葦さんも。
もしかしてアイス好き?
温かい部屋の中で食べるアイスって美味しいもんね。
ていうか、光太郎さん買ってきてくれるの?
この寒い中?
「よっし、全員だな!じゃあジャンケンだ!」
…ですよね。
四人で手を出して、
「ジャーンケン…」
グーとパーが、綺麗に二つずつに分かれる。
「「ゲッ…」」
私と赤葦さんの声が重なった。
光太郎さんとテツさんはラッキー、なんて言いながら再びお酒を飲み始める。
思わず赤葦さんと顔を見合せた。
よーし、今度は負けないもんね!
心の中で気合いを入れる。
すると赤葦さんは、リビングの隅に掛けられたコートを手にした。
「え?赤葦さん?」
「俺行く。アイス、何がいい?」
「え…そんな悪いです」
「いいよ」
「でも…」
「じゃあ、一緒に行く?」
わ…赤葦さんと…二人…?
「おーおー!行ってこい!負けコンビ!」
「俺抹茶アイスよろしくー」
「俺ね、肉まん3つとチョコ系のアイスね!」
光太郎さんとテツさんの声を背後に聞きながら、私は小さくうなずいてコートを手にした。
真冬の夜道は寒い。
寒いのが苦手な私は、好き好んでこんな時間に外に出ることはない。
…でも。
今はそれが嫌だなんて思わないから不思議。