第5章 glass heart【赤葦京治】
「んでさぁ、みきちゃんと遊園地デートまではよかったんだよ!でもその後、元カレから連絡あるとか何とか言うんだわ。電話で相談とか乗ってたんだけど、ある時から連絡つかなくなってさぁ…」
光太郎さんがお酒片手にボヤキ始める。
昨日の電話の続きだ。
「あー…みき、元カレと付き合い長かったから。ヨリ戻しちゃったかもしれませんね」
肩を落とす光太郎さんに、カニをよそってあげる。
「やっぱそうだよなぁ…」
「でも、それならそうと言って欲しかったですよね。何かすいません…」
「いやいや、汐里が謝んなくてもいいって!まあ、また年明け合コンあるし!」
そう言いながら、カニにかぶりつく。
「そうなんですか?切り替え早!」
「まあな!汐里は彼氏どんくらいいねーの?」
「1年半…くらいですかね」
「はぁ!?ほっとく男いんの?すんげー可愛いのに!」
「あはは!そういうのいいですって!」
「いや、マジで!なぁ、赤葦!」
……!?
思わずお酒を吹き出しそうになる。
ちょっと!そこで赤葦さんに振る!?
それ、可愛いって言わなきゃいけない流れのヤツ!
「そうですね。可愛いと思いますけど」
赤葦さんは表情も変えずに私を見ると、サラッと言ってのける。
ほらぁ…!
空気読んでくれた感じになってるし!
「いいんです!私のことは!赤葦さんも気遣わせてゴメンナサイ!はい、じゃあ別の話題!」
やだ…また顔熱い。
「顔、赤いよ?」
すかさず月島くんに突っ込まれる。
「お…お酒のせいだもん!」
「へぇ?」
ニヤッと笑う顔が憎たらしい…!
「からかわないで!ツッキー島くん!」
「呼び方。ツッキーか月島か、どっちかにしなよ」
「え!ツッキーって呼んでいいの?」
「どっちつかずのが気持ち悪いわ」
ため息をつきつつ、缶ビールを煽る。
「じゃあツッキー。お代わり、いる?」
「…どーも」
取り皿にカニを沢山。
それから、白菜をよそう。
「いや、そんなにカニ食べれない…」
「うそ?」
「野菜もう少し入れて。あ、春菊はナシで」
「わっがまま!」
「そっちがお代わりいるか聞いたんでしょ?」