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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】



優くんがおでこに貼ってくれた冷却シートが、ひんやり気持ちいい。
頭重感も薄らいで、うとうとし始めた時。
部屋の中に優くんが入ってきた。

「雑炊、出来ましたけど。どうします?今食えます?」

「ありがとう…。少し貰おうかな…」

持ってきてくれた食事をサイドテーブルに置いて、ベッドから足を下ろす。

「いただきます」

お椀によそってくれた雑炊をひと口食べると、優しい味が口内に広がった。
温かくて、美味しい。

「優くん、お母さんみたいだね…」

「この前はお父さんって言いましたよね。俺、こんなデカイ娘がいる歳じゃないんすけど?」

「ふふっ、それはそうだよね」

優しいんだけど、変な気の遣われ方じゃないから心地いい。
それでも、胸の奥にどんよりと居座る灰色の感情は消え去ってくれることはない。

雑炊を掬う手を止めて、お茶をひと口飲んだ。


「考えない方がいいですよ。こんな熱出してる時に」

「……」

「と、言いたいところだけど。そんなの無理ですよね」


私の心中がわかるかのように、優くんが言う。


「どうせ考え込むくらいなら、吐き出しちゃったらどうですか?」


優くんは隣に座り、私の言葉を待つようにただ自分の足元を見つめている。


これから先、どうしたらいいのか。
どうしたいのか。

今の私は、自分の気持ちすらよくわかっていなくて。
電話でのてっちゃんとの話を頭の中で整理しながら、全て優くんに話した。

そして、考える。

てっちゃんの言葉を信じるだけで済む話ではないのか。
だって、てっちゃんは嘘をつくような人じゃない。
二人の間には何もない。
キスだって、不慮の事故みたいなものだ。


こうして考えてみると、ただ単純な話。
それなのに、こんなに苦しいのは何故?


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