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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第2章 この腕の中の君 ※【黒尾鉄朗 続編】



「ごめん…」

『それは、浮気したことを謝ってるの…?』

「違う!そうじゃなくて…ごめん、わかんねぇんだよ」

『え?』

「成瀬にキスしたいなんて一度も思ったことねぇよ。浮気なんて、考えたこともない。でも…あの夜は椅子に座ったまま寝てたから熟睡できなくて…。その…梨央と勘違いして成瀬にキスした、なんてことが…あったのかもしれない」

『……』

「本当にごめん。絶対になかった、とは言えねぇ…」



声は届かない。
泣き声も聞こえない。
まだ繋がっているのか不安になり、スマホのディスプレイを確認する。
ライトを落とした部屋の中に、煌々と浮かぶ光。
そこに記された数字は、一秒ごと、形を変えている。


「でも…その話自体、成瀬の嘘かもしんねぇし…」

『嘘をつくような人なんだ、成瀬さんって。じゃあ何で部屋に行ったの?部屋に呼ばれた理由も嘘なんじゃないの!?』

「梨央!本当に全部俺が悪かった!だから…」

『ごめん、頭ん中ぐちゃぐちゃ…ちょっと考えさせて…!』


声を荒らげた梨央の言葉尻は、涙で震えた声だった。



梨央の声が届かなくなったスマホをかろうじて持ちながら、ダラリとその腕を垂らす。





梨央を…



泣かせた……







あの夜。
何であんな半端なことしちまったんだよ…。


うっかり寝たりしなければ…
そもそも、成瀬の部屋に行かなければ…




梨央を傷つけることなんてなかったのに……。




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