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日章旗のデューズオフ

第16章 【拾参】時透&実弥(鬼滅/最強最弱な隊士)



(──木枯らし颪)
峨嵋刺を手放しつつ空中で激しく身を翻し、抜き放った日輪刀で虚空を円状に切り裂く。粉塵爆発の爆煙を螺旋状に巻き取る突風が、雪で湿り気を帯びた砂利を抉るように吹き飛ばし、その下の濡れた土塊を剥き出しにするごとに、俺が墜落する危険性も激減していく。
颱風の目の中は最も穏やかだと言うけれど、使用者以外がこうも滅多斬りにされて更地に還るような、天変とも地夭ともいえる有様に陥るとは、風柱殿の実力を嫌でも思い知らされるところだ。
「……」
風花玉塵が舞うほどの自然風が吹いて爆煙と雪煙を粗方晴らした時機には、何とか着地を果たし終えていた。足元の泥土に刺さっていた峨嵋刺を拾い上げて、大腿に巻く暗器帯へ挿し換えながら、ただ纏わるだけの布切れと化した着流しと羽織から颯々と袖を抜く。そうして腰で重なった残骸を肘で跳ね除け、日輪刀も鞘へ納める。
「──天元!」
その動作の延長で腕を振り上げながら義兄の名を叫ぶと、間髪入れずに木刀が投げ渡され、掌中へと綺麗に収まった。膚に吸い付くような手触りから、また使い込みの若い個体を寄越してくれていると分かって安堵しつつ、寸分の狂いもない連携に内心で北叟笑む。
止めろと言っても止めずに読心術で心を読む男だから、改めて説明などしなくとも分かってくれると思っていた。矜恃を揺さぶられて忍還りを起こしている今は特に術の通りも良くなるから、俺達の連携に隙はない。
「……またそうやって見せ付けるんだ。嫌になるね」
「慎みって奴を覚えさせねぇとなァ、尻軽にはよォ……ッ」
「ッは。痛そうに腹ぁ抑えながら言う事ですかねぇ。早く型を全部見せてくれないと、腹どころじゃなくなりますよ。霞柱殿、風柱殿」

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