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日章旗のデューズオフ

第13章 【拾】炭治郎&伊之助(鬼滅/最強最弱な隊士)



「そんなことしなくて良いよ……」
「名前さんの白い膚が丸見えのままでは良くない事が起きる気がしますッ! 柱の中から複数の怒りの臭いが濃く漂ってくるのでッ! 多分、怒られますッ!」
「俺じゃなくてお前が怒られるやつだぞ、それ」
臍まで筋を垂らす血の幎をものともせず、ぺたぺたぺたぺた肌を撫でられて擽ったい。余り触るなという意味を込めて半身を引くのに軽々と追い縋ってくる。なかなか執拗い。
忍時代から毒漬けであった事に加え、鬼殺隊士と成ってからも様々な樹木の根や花から抽出した毒を恒常的に投与している俺の体液に触れると、良い影響は無いんだが。まぁ服を切られた腹癒せだ、少しは痛い目を見て貰うか。
「竈門」
「っ……」
やけに熱を孕んだ竈門の両手を掴まえると、指を絡めるように握り込む。簡単に振り解かれない為には指の股を全て重ねた方が有効だ。案の定、抵抗は無駄と悟った竈門は叱られた子犬宜しく眉尻を下げて俺の顔を窺った。
「俺の着物を駄目にした償い、したいか?」
「はい」
「俺の肌を晒した償い、したいか?」
「はい、それはもちろん」
「じゃあ今すぐ岩柱邸に戻って、隠の後藤に『前田を呼べ』って伝えて来い。まだ居るはずだからよ。それで許してやる」
「……そんなことで良いんですか?」
「ああ」
鎹鴉を飛ばせれば良いのだが、後藤は昔から鴉による呼び出しに難色を示す。正確には俺の鴉と対面する事を嫌がっている。俺より以前の担当隊士に要らぬ道理を仕込まれたのか、元から下手な人間以上に厳格な性分なのか定かでは無いが、これが後藤と相性最悪らしい。
因みに前田も同じ理由から鴉で呼び出す事はほぼ不可能。今みたいに人伝か、俺が直接出向かなければ顔を合わせる事も出来ない。まぁ彼奴の場合は、あの助平心を非難されて逆上しているだけのように思えるが。
今までは「そこまで素気無く嫌う事ないだろう」と話半分に受け流して半信半疑の部分も有ったけれど、岩柱邸で露呈した天元への態度から、面倒そうな性格の片鱗を目の当たりにして考えを改めた。故に鎹鴉を飛ばす事は出来ないと判断し、これ幸いと竈門に遣いを命じているのだ。

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