第11章 裏で動いた恋模様
‐きとりside‐
確かに、コイツ等、あの家で一緒に暮らしてた皆に対して我儘言い放題だった。
だけど、それは皆が家族だったから。
家族は、何をしても最終的には許して、味方になって、護ってくれる存在で。
恋人は、そこに愛がある内は家族以上に護ってくれるかも知れないけど、いつ壊れるか分からない存在。
だから、もし、赤葦の言葉が告白じゃなくて、プロポーズだったら。
恋人は通り越して、家族になれたなら。
恋愛感情は無くても、私達は強い絆で結ばれているのを分かっているから、受けていたかも知れない。
思っていた事は、そのまま口から出ていたようだ。
「それなら、俺と結婚して下さい。きとりさんの、本当の家族になります。貴女が仕事を続けるなら、俺が仕事辞めてこっちに来ますから。」
ムードも何も無い状態で、全く感情を感じない声で、今度は求婚された。
受けていた‘かも’知れない。
でも、正解を知った後に言う後出しのプロポーズなんて、誰が受けるか。
「…冗談ですよ。ですが、こっちに居る間は、家族ごっこ、しましょう。勿論、夫婦ごっこじゃなくて、姉弟ごっこの方で。」
私の回答は、赤葦も分かっているようだった。
ノーを言おうとした声が出る前に遮られて。
私にとって、とても大切な‘家族’に戻ってくれた。