第11章 裏で動いた恋模様
‐きとりside‐
私に選ぶ勇気がないから、保留にする予定だった赤葦の告白は…。
その理由によって、驚く程にあっさりと気持ちを固めさせてくれた。
「赤葦、やっぱ返事、今するよ。」
迷いがなくなって、自然と笑った。
食事も終わって、静かな空間の中で、赤葦が息を飲み込んだ音が聞こえた気がする。
「赤葦と、お付き合いは出来ません。ごめんなさい。」
期待させたら悪いから、変な誤魔化しはしない。
要点をはっきりと伝えて、頭を下げた。
「…理由を、聞いても良いですか。」
聞こえた、冷静で平坦な言葉。
ショックを受けているような感じはしないから、安心して顔を上げる。
確かに、さっきまでは考える素振りを見せていて、すぐに結論を出されたら納得出来ないよな。
「赤葦は、私とクロが別れた理由知らないでしょ?」
私のプライドが邪魔をして、甘えたいのに甘えられなくて、クロを沢山傷付けた過去。
その最大の原因は、私が年上だった事。
クロの方が、人間としてしっかりしている事実が、悔しかった。
赤葦も、やっぱり年下男な訳で。
頼ってくれ、って言われても多分出来ない。
それを話したら、赤葦は不思議そうな顔をして。
「きとりさん、俺等に甘えてるつもり無かったんスか?今までも、あれだけ我儘言ってて?」
かなり痛いところを突いてきた。