第11章 裏で動いた恋模様
‐赤葦side‐
俺が出した結論は、りらと似た部分に惹かれたと、口に出さない事。
似てる所が好きならば、見目の良いりらの方が良いに決まってる、とでも言い出しそうな人だから。
運が良い事に、あの2人には決定的な違いがあって。
2人とも、何だかんだ言って世話焼きな部分は一緒だけど。
りらは、長子だからか、やってやらなきゃならない責任感が強くて、人を頼るのが苦手で。
きとりさんも、責任感は強い方だけど、自分が出来ないと判断した事に関しては、人をちゃんと頼れる。
そういう、些細な違いに気付いて、手を差し伸べてやったら、掴みたくもなるでしょう?
だから、手始めに貴女の出来ない事、料理から手を付けたんだ。
まぁ、俺もやった事が無かったから、レシピを見ても意味が分からず。
少々とか、一つまみって個人差あるだろ、という状況で。
失敗を重ねはしたけれど。
なんとか、きとりさんが帰ってくるまでに、慣れた手付きを装うくらいは出来た。
これを、こちらに居る間はずっと続けて。
帰ったら食事のある家に憧れでも持ってくれたら、俺を手放せなくなる。
きとりさんから、俺が居ないと駄目だと、絶対に言わせてみせる。
一番に頼りたい男になる事が、きとりさんを手に入れる為の最善策だと、思い込んで。
誤算があった事には、気付いていなかった。