第11章 裏で動いた恋模様
‐きとりside‐
仕事をしていても、赤葦の話の続きが気になって、意識がそちらにいってしまいそうになる。
流石に、ドレス選びとかしている時に適当な意見は出来ないから、無理矢理でも集中するようにして。
何とか、昼過ぎまでの仕事は終わらせた。
まだ半日しか仕事をしていないのに、1日分以上の疲れを感じる。
休憩用の部屋の中で、目の前に広げたランチも進まず、溜め息ばかり吐いていた。
そこへ、やってきた同僚。
交代で休憩に入るから人と被るのは珍しいのに、こんな日に限って、誰かと一緒になるなんてついてない。
しかも、この同僚に昨日迎えに来た赤葦を見られていたようで。
根掘り葉掘り聞かれる。
最初の頃はかわして会話していたけど、あまりのしつこさに相手をするのに疲れて、つい告白された事を話してしまった。
「…嫌いじゃないなら、付き合ってみれば?」
その上で、軽い考えが答えとして返ってくる。
「悩むのは、ちょっとでも相手と付き合ってみたい気持ちあるからじゃないの?可能性0なら、悩まないでしょ。」
続いている言葉は正論のような気がしたけど。
そんな適当な気持ちじゃ、赤葦に悪い。
まだ、何かした訳でもないのに、すでに罪悪感で押し潰されそうになっていた。