• テキストサイズ

【HQ】繋がる縁の円

第11章 裏で動いた恋模様


‐きとりside‐

思い出せば、あの家では何回も京治含む男の半裸など、よく見ていた。
今更、それで恥じらうような仲ではない。

「…あの、京治。」
「昨日、家に着いた途端にアンタぶっ倒れて。起こしたら、吐かれて。まさか、記憶ない?」
「…ごめん。もしかして直撃した?」

私の質問を先読みして、教えてくれたけど、本当に思い出せない。
とんだ醜態を曝してしまった。

「ソレは避けた。片付けもしたから、心配はしなくて良いよ。」

京治も巻き添えにしたかと思ったけど、あっさりと否定が返る。

あぁ、なんか想像つくよ。
無表情のまま、無駄な動き一つなく避ける姿が。

それでも、片付けだとか迷惑を掛けた事に間違いは無い。
この格好で寝ていたのも、汚れたから脱がせただけで、着替えさせるまでは出来なかったんだ。

申し訳なさすぎて、顔が見られない。

「別に、俺は人の世話を焼くの嫌いじゃないから、良いよ。きとりは、木兎さんに比べたらマシな方。」

私を慰めるように、頭が撫でられた。

「木兎と比べないでよ。」
「ごめんね。」

まるで、女子どものような扱いをされる事が気恥ずかしくて、拗ねたような可愛くない言葉が口から出る。
それでも、撫でる手は止まらなかった。
大人しくされるがままになっていると、若干の心地好さを感じてきた。
これを分かってやってるんだろうから、この男は怖い。

「なんか、完敗だわ…。」

何を言っても、平然と返されるし。
私が、女扱いされると弱いのも分かってるし。

もう、撫でられるのが恥ずかしいとすら感じなくなって、そのまま暫くの時間を過ごした。
/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp