第11章 裏で動いた恋模様
‐きとりside‐
思い出せば、あの家では何回も京治含む男の半裸など、よく見ていた。
今更、それで恥じらうような仲ではない。
「…あの、京治。」
「昨日、家に着いた途端にアンタぶっ倒れて。起こしたら、吐かれて。まさか、記憶ない?」
「…ごめん。もしかして直撃した?」
私の質問を先読みして、教えてくれたけど、本当に思い出せない。
とんだ醜態を曝してしまった。
「ソレは避けた。片付けもしたから、心配はしなくて良いよ。」
京治も巻き添えにしたかと思ったけど、あっさりと否定が返る。
あぁ、なんか想像つくよ。
無表情のまま、無駄な動き一つなく避ける姿が。
それでも、片付けだとか迷惑を掛けた事に間違いは無い。
この格好で寝ていたのも、汚れたから脱がせただけで、着替えさせるまでは出来なかったんだ。
申し訳なさすぎて、顔が見られない。
「別に、俺は人の世話を焼くの嫌いじゃないから、良いよ。きとりは、木兎さんに比べたらマシな方。」
私を慰めるように、頭が撫でられた。
「木兎と比べないでよ。」
「ごめんね。」
まるで、女子どものような扱いをされる事が気恥ずかしくて、拗ねたような可愛くない言葉が口から出る。
それでも、撫でる手は止まらなかった。
大人しくされるがままになっていると、若干の心地好さを感じてきた。
これを分かってやってるんだろうから、この男は怖い。
「なんか、完敗だわ…。」
何を言っても、平然と返されるし。
私が、女扱いされると弱いのも分かってるし。
もう、撫でられるのが恥ずかしいとすら感じなくなって、そのまま暫くの時間を過ごした。