第11章 裏で動いた恋模様
‐きとりside‐
聞き慣れた自分の目覚まし時計ではない、携帯のアラーム音で目が覚める。
頭が痛くて、飲み過ぎた自覚だけはある。
取り合えず、時間を確認しようと枕元に置いてある筈の時計に手を伸ばした。
その時、感じる違和感。
見えている私の腕は、着衣を身に付けている様子はない。
どんな格好で寝ていたかを確認するように、布団を捲って中を覗くと…。
つい、固まってしまうような出来事が布団の中で広がっていた。
色気のない、スポーツ用の下着のみで寝ていたまでは、まだいい。
ただ、私の腹の部分に腕が巻き付いているのだ。
そういえば、何か背中側が不自然に暖かいし、後ろから寝息まで聞こえている。
え、なに、この展開。
まさか、勢いで男女の関係になっちゃったか。
いや、それらしい痕跡は残ってないから、きっとセーフだ。
セーフだと、思いたい。
頭の中を整理して、昨晩の事を思い出そうとしても、二日酔いの頭痛に邪魔されて出来なかった。
この間も、携帯のアラームらしい音は鳴り続けていて。
「…きとり、おはよう。」
私に巻き付いた、この腕の主も起きたようだ。
背後から声が聞こえて、体から腕が離れると、やっとアラームが止まった。