第11章 裏で動いた恋模様
‐きとりside‐
離島と言っても、近年リゾート地として発展したこの島は、観光客向けに食事処とかは沢山あって。
まぁ、私が自炊なんかしている訳もなく、当たり前のように晩御飯は外で食べる事にする。
久々の再会を祝して、お酒を飲んでしまったから、あまり強くない私は簡単に酔っ払った。
「家の住所、言える?」
「なんとか…。」
潰れる一歩手前。
もう少しで、落ちて眠りそうな状態の時に体が浮いた。
京治に、抱えられている。
しかも、女の子のアコガレ、お姫様抱っこ。
だけど、残念かな。
酔っ払いの私は感動よりも、その浮遊感で気持ち悪くすらなってしまった。
下ろして貰っても、自力で歩けるレベルの酔いじゃなく。
結局、肩を借りて歩く事になる。
食事をした、少し栄えている通りから私の借りている家までは距離があったけど。
タクシーとかの、車独特の匂いは更に気持ち悪くなる恐れがあって使えなかった。
「この家?」
「うん。」
なんとか辿り着いた家の前。
頷く為に首を振るのも、気持ち悪くて本当に限界だ。
ポケットから鍵を取り出して、解錠した。
やっと入れた家の中。
玄関を上がれた安心感があったのか、この部分で記憶は途切れた。