第11章 裏で動いた恋模様
‐みつside‐
ケージくんの瞳が揺れて、雫が頬を伝っている。
きっと、今の言葉は、この人の中で、ずっと隠し続けてきた、気付きたくなかった本心だからだと分かった。
きとりちゃんも、まぁまぁ分かりやすい性格してて、多分だけどテツローくんの事が好きだから。
それを知ってるケージくんは、気付きたくなかったんだろうな。
分かった途端に、失恋を確定させるのは辛いから。
ケージくんの手が緩んで、胸元から離れる。
力を無くして俯いていた。
少しでも、力になりたい。
辛さを和らげてあげたい。
私に出来る事は、ただ1つ。
背中を押す事。
「ケージくんは姉ちゃんに、ちゃんとした告白した事ある?」
「ないよ。」
「きとりちゃんには?」
「ある訳ないだろ。」
伝えもせず、ただ諦めなければならないのは、苦しみ続けるだけ。
自分が告白してたら?なんて、ifを考えてしまうから。
「ケージくん、告白しよう。姉ちゃんにも、きとりちゃんにも、ちゃんと伝えて、フラれよ?
それで、終わらせようよ。少しずつ、前に進まないと、姉ちゃん達も悲しむよ。自分達の所為で、ケージくんが立ち止まってるの、気付いたら、さ。…ね?」
説得を始めた頃は、首を振り続けていたケージくんも、私がしつこいから諦めたようで。
「…今度、きとりさんに会ってくるよ。」
取り合えずでも、片方への告白を約束してくれた。