第11章 裏で動いた恋模様
‐赤葦side‐
りら自身は、こんな事を望んでいないと知っている。
だから、内々に全てを処理してきた。
これからも、鈍感な本人には気付かれないように動いてみせる。
そう、思っていたのに。
あっさりと、みつが捕まった。
それも、一番厄介な黒尾さんに。
どうやら、あの旅館の一件で、みつが人を脅すのは初めてじゃないだろうと気付いたようだった。
いつものように、報告をしに訪れたみつと一緒に俺の家に来た黒尾さんから出された条件。
この先の、計画を実行しない事。
これを飲むなら、りらには何も話さないと約束してくれた。
上辺だけ、飲んだフリをしても良かったのだけど。
もし、動いた事に気付かれた場合のリスクがあまりにも大きかった。
りらに、こんな事をしていたと知られるのは、何としても避けたい。
次に見付かれば、わざわざ俺と話してくれるなんて猶予をくれないだろう。
それくらい、黒尾さんは俺に敵意を剥き出している。
今まで、順調に進めてきた筈の計画は、俺達の、あの家で共に暮らしていた仲間の、関係を狂わせて。
途中で中止せざるを得なくなってしまった。