第11章 裏で動いた恋模様
‐みつside‐
出来るか、と質問するんじゃなくて。
出来るよね、と確定。
実際、この人の言う通りに動いて失敗した事はない。
この、赤葦京治という男は、人の事をよく見ているし。
その人の個性、能力で、出来ない事を押し付けたりはしない。
今回やったのも、書類を偽造してたし、たまに犯罪紛いな事も頼まれるけど。
「大丈夫。何かあったら、俺の所為にしていい。みつも騙された顔をすれば、重い罪にはならないから。」
こう言われて、断れる訳はない。
だけど…。
「ケージくんだけの所為には、しないよ。私の復讐でもあるからね。」
私はいつも、こう返している。
もし、闇の底に堕ちるなら共に堕ちたい。
「…そう。」
私の返事になど、興味がない風に返してくるケージくんの目は、暗く淀んでいた。
私の真意に気付いているのか、いないのか。
きっと、気付いた上で私を利用しているに違いないのだけど。
姉ちゃんを崇拝している彼の闇に魅せられて。
私は、すでに堕ちてしまっている。
ケージくんが、姉ちゃんを崇めているならば。
その彼を、私は信仰していて。
だからこそ、私の中で赤葦京治は絶対的な存在だった。