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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第28章 沖縄旅行は海の香り


「そういや、矢田さんは一番熱心に聞いてるもんね、ビッチ先生の仕事の話」
「うん、色仕掛けがしたいわけじゃないんだけど」
と言っても矢田さんの顔と身体なら可能ではあるけども。
「殺せんせーも言ってたじゃない、『第二の刃を持て』ってさ」
高めのポニーテールが軽やかに揺れる。

「接待術も交渉術も、社会に出た時最高の刃になりそうじゃない?」

「おお〜、矢田さんはカッコいい大人になるね」
不破さんが頼もしそうに笑うと、
「う…む…巨乳なのにホレざるを得ない」
と茅野ちゃんが浮ついた目で矢田さんを見つめた。巨乳を憎んでる茅野ちゃんが惚れるなんて相当。

「皆、店の奥までたどりついたけど、やっぱりこっからが難しそうだよ」
イケメグがちらりと奥を覗きながら小声で言った。私もイケメグの後ろから見ると、屈強そうな男が私たちに背を向けている。
「場合によっちゃ本当に男手が必要かも。茅野さん、渚を呼んできて」
「うん!」
茅野ちゃんが体を翻し渚君の方に向かう。
「あの裏口のカギを開けて男子を中に入れたいんだけど、扉を開けるのも階段を登るのもあの見張りがジャマだ」
「なんとかあの見張り…おびき出してそのスキに通れないかな」
「強行突破は避けたいよね、ホテルの従業員だから倒したらすぐバレちゃう」
イケメグ、岡野さん、凛香の順に小声で進行。
「どうにか上手いこと持ってかないと」
私はそう口にしながらも、『上手いこと』になるだろうな、と思った。

「おう待てって彼女等」
渚君がいつの間にか帰ってきたらしい。横には茅野ちゃんと……後ろには、さっき渚君を誘った男の子。声をかけてきたのはその男の子だ。
「大サービスだ、俺の十八番のダンスを見せてやるよ」
と言って通路の真ん中で堂々と踊り始めた。皆の顔に思い切り『邪魔』と浮かんでいる。どんだけ渚君を引き止めたいんだ……。
男の子は皆の雰囲気を総無視して踊り続けた。しかし踊り続けた手はすぐに止まった。

ガシャ、とガラスが擦れる音。男の子の右手が当たったのは見るからに正規の仕事をしていない男の人だった。

「こらガキいい度胸だ、ちっと来い」
「あ、いや、今のはわざとじゃ」
「百万する上着だぞ弁償しろや!!」
どう見ても百万はしない。せいぜい某有名チェーン店の洋服屋で二、三千円だろう。
「オラ住所書け!!」
矢田さんがその様子を見て何か思いついたようだ。
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