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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第28章 沖縄旅行は海の香り



「でも男手がいるよね。いざという時の…」
矢田さんがふと思いついたように続ける。
「…そうね、でも男は入れない、し……」
そこまで言ったイケメグは、ある男に目をやった。……いや、男と言うには『小さい』かもしれない。

「……え、ぼ、僕?」

渚君が自分を指差して言った。

「渚なら男だってバレないでしょ、女装すれば」
「じょ、女装!!?」
「あ、外に洋服落ちてたよ! 取ってこようか」
「何でそんなにすぐ話が進むの!?」
……まあそうなりますよねえ。
「東尾さんも何か言って!」
文句も否定もしていなかった私に渚君が助けを求める。
「いや、いいんじゃないの? 男手必要、でも男らしすぎるのは連れてけない。適材適所、大事だよ」
そう言いながら笑いかけると、渚君はううう……とうめき声を上げて静かに頷いた。
「………………わかった……やる…………」
その小さい声に反応してさあさあ!! と女子が渚君を手近な場所に連れていく。その後女装してきた渚君は、あらゆる意味で大きな話題をかっさらっていった。




いよいよ女子だけでクラブに潜入。皆で楽しく軽い会話をしながら油断なく辺りを見回す。
「ホラ渚君!! 男でしょ!! ちゃんと前に立って守らないと!!」
なかなか入ってこない渚君に不破さんが小声で呼びかけると、渚君はオズオズと足を進めた。
「無理…前に立つとか絶対無理」
「あきらめなって、男手は欲しいけど男にはチェック厳しいんだもん」
ズンズンと響く喧しい音の中、渚君はようやくといった様子でクラブに入ってきた。

髪の毛をふたつまとめているのはリボン。左の胸元にもリボン。オフショルダーのセクシーな洋服に首元はチョーカー。下はチェックの可愛らしいスカート。靴下は膝上で、ヒールで足元を綺麗に彩っている。手を前に重ね、恥ずかしそうにモジモジする姿は、まさしく『乙女』だ。

「自然すぎて新鮮味が無い」
そんな渚君を見つめながら速水さんが言うと、
「そんな新鮮さいらないよ!!」
と渚君が真っ赤な顔で反論した。
「どこにあったのこんな服…」
「外のプールサイドに脱ぎ捨ててあった。服の持ち主はどこ行ったか知らないけどね」
「はーあ、やだやだ、こんなフケツな場所さっさと抜けたいわ」
「その割には楽しそうだね、不破さん」
それは不破さんが非日常的な出来事……即ち漫画的な出来事が好きだからだろう。
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