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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第28章 沖縄旅行は海の香り




見事に縛り上げられたグリップ。手は後ろに回され、足も抵抗できないようにまとまっている。

「くっ…」
という情けない声を上げている。
「毒使いのおっさんが未使用だったのくすねたんだよ。使い捨てなのがもったいない位便利だね」
カルマ君がガスのスイッチをポーンとこちらに投げてきた。ちょうど前にいた私は戸惑いながらもキャッチ。

「何故だ…俺のガス攻撃…おまえは読んでいたから吸わなかった。俺は素手しか見せてないのに…何故…」
グリップがガスのせいで震えながらそう問うと、
「とーぜんっしょ、『素手以外』の全部を警戒してたよ」
カルマ君は『何当たり前なこと言ってんの?』とでも言いたげに笑った。

「あんたが素手の闘いをしたかったのは本トだろうけど、この状況で既に固執し続けるようなプロじゃない。俺等をここで止めるためにはどんな手段でも使うべきだし、俺でもそっちの立場ならそうしてる」
グリップの視線になるべく合わせるようにカルマ君はあぐらをかいた。

「あんたのプロ意識を信じてたんだよ、信じてたから警戒してた」
そう言ったカルマ君は、前とは少し違う空気で微笑んだ。何というか、いつもより怖くない。渚君に抱えられた殺せんせーは、
「大きな敗北を知らなかったカルマ君は…期末テストで敗者となって身をもって知ったでしょう。敗者だって自分と同じ、色々考えて生きている人間なんだと」

そうか、そういえばカルマ君は期末テスト、数学の点数下がっちゃったんだっけ。……それでも私よりは高いけどね!!

「それに気付いた者は必然的に…勝負の場で相手の事を見くびらないようになる。自分と同じように敵も考えていないか、頑張っていないか、敵の能力や事情をちゃんと見るようになる。敵に対し敬意を持って警戒できる人。戦場ではそういう人を…『隙が無い』と言うのです」

カルマ君は相手の事情を考えられる、隙がない人になったのか…すごい人がまた超人に近付いた。グリップは今までで1番穏やかな表情を浮かべて、
「…大した奴だ、少年戦士よ。敗けはしたが、楽しい時間を過ごせたぬ」
と微笑んだ。その言葉にカルマ君は目を見開いた後、
「え、何言ってんの? 楽しいのここからじゃん」
と何かチューブ形の物を持って笑った。ここからはよく見えないけどあれって…。
グリップは日本語があまり読めないらしく、よく分からない表情を浮かべている。
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