• テキストサイズ

【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第28章 沖縄旅行は海の香り



グリップはカルマ君が振り下ろした木を怪力で受け止め、メキメキと折る。

「柔い。もっと良い武器を探すべきだぬ」
「必要ないね」

木を手放し、こちらに突進してくるグリップをサラリと交わすカルマ君。

「お…」
「おお……」
カルマ君とグリップの戦闘に皆はぽかんと口を開けて声を上げていた。見えないほど速く繰り出されるグリップの手に触れないように綺麗に避けるカルマ君。

「すごい…全部避けるか捌いてる」
「烏間先生の防御テクニック、ですねぇ」
殺せんせーが自慢げに笑うが、私はカルマ君を尊敬の眼差しで見ていた。よく居残りで烏間先生の指導を受けている私でも盗めなかった、烏間先生の防御テクニックを完璧に出来ている。しかもカルマ君はそんなに訓練参加してないのに…天才は目で盗めるもんなのか。しばらくやり合っていた2人だが、グリップがピタリと動きを止めたと同時にカルマ君もゆっくりとストップした。

「…どうした? 攻撃しなくては永久にここを抜けれぬぞ」
「どうかな〜、あんたを引きつけるだけ引きつけといて、そのスキに皆がちょっとずつ抜けるってのもアリかと思って」
カルマ君はくい、と親指を私達の方に向ける。
「………」
それに対して厳しい目を向ける怪力グリップ。
「…安心しなよ、そんなコスい事は無しだ。今度は俺から行くからさ」
カルマ君はボキ、と手を鳴らし構えをとると、
「あんたに合わせて正々堂々、素手のタイマンで決着つけるよ」
と言い放った。
「良い顔だぬ、少年戦士よ。おまえとならやれそうぬ。暗殺稼業では味わえない、フェアな闘いが」
そしてグリップも小さく構えをとった。

カルマ君がグリップに向かって走っていく。飛び蹴りをかますがそれはグリップの腕で防がれた。ガキっ、という人の骨の音とは思えない音が耳に届く。カルマ君はすぐさま体勢を整えると左手で目潰しの手を作り、グリップの右足を思い切り蹴った。

「くっ…」
わあ痛そ…スネに当たると痛いのは怪力男でも変わらないらしく、ビリビリと痺れて座り込む。カルマ君の方向からだと、グリップは背中を見せている形だ。(充分速いけど)さっきよりも動きがのろくなったグリップに向かって、カルマ君は駆け出した。そのままジャンプし……


しかし重力に従ってカルマ君の体は落ちた。


「一丁あがりぬ」

グリップの手から放たれたそれは。

/ 492ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp