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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第28章 沖縄旅行は海の香り





カツン、と少しの響きを持ってすれ違った2人組の靴音が鳴る。
「本当に只の客同士って感じだな」
と千葉くんが小声でいう。
「むしろ視線も合わせない。トラブルを避けたいのはあっちも一緒なんだろうな」
「ホテル内の全員が敵かと思ってたけど、これなら最上階まですんなり行けそうだね」
と茅野ちゃんが言うと、岡野さんがうん、と頷いた。

「仮に何かあっても…前衛の烏間先生が見つけてくれるさ」

3階中広間。まだこのホテルの3分の1だ。

「へッ、楽勝じゃねーか、時間ねーんだからさっさと進もうぜ」
寺坂と吉田くんが烏間先生を置いて前へと歩き出す。殆ど駆け足で軽い足音を響かせると、前から帽子を被った男の人がやってきた。その男の人は口笛を吹き、余裕そうな顔で私達と視線を合わせようともしない。何かに気がついたかのように不破さんが目を見開いた。

「寺坂君!! そいつ危ない!!」

不破さんの精一杯の声に烏間先生が反応し、寺坂も
「あ?」
とふりかえる。

刹那。

見えない速度で前方の男の人の手がポケットへと伸び、それと同じ速度で烏間先生が寺坂と吉田くんの服の襟を掴んだ。烏間先生が2人を庇う形で前へと出ると、男の人はポケットから出したボタンを押す。ガスが湧き上がると、烏間先生は即座にその男の人の手を蹴り、その勢いで後ろへ下がった。

……つまり烏間先生がガスの攻撃を受けたって事。

「…何故わかった?」
男の人は自分はそのガスを浴びないように布で鼻と口を隠していた。その布を外し、『危ない』と叫んだ不破さんの方を見る。
「殺気を見せずすれ違いざま殺る。俺の十八番だったんだがな、オカッパちゃん」
鷲鼻のその男は意地悪そうにニヤリと笑う。……私たちの、第一の敵だ。

「…不破」
木村くんが答えを求めるように不破さんに話しかける。不破さんはその男の人から目を離さずに「ボブだし」と小声で言った後、
「だっておじさん、ホテルで最初にサービスドリンクを配った人でしょ?」
と言い放った。

皆は不破さんのその言葉を受けて男の人の顔をよく見る。
「…あ!!」
確かにその男の人は、私達がホテルに来て海の家的な所で休んでいた時にサービスドリンクを配った人だ。……私はその相手にドリンクを突き返した訳だけど。

「断定するには証拠が弱いぜ。ドリンクじゃなくても…ウィルスを盛る機会は沢山あるだろ」

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