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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第28章 沖縄旅行は海の香り



「……さて、君等になるべく普段着のまま来させたのにも理由がある」
烏間先生はそう切り出して皆の方へ振り向いた。
「入口の厳しいチェックさえ抜けてしまえば…ここからは客のフリができるのだ」
「客ゥ? 悪い奴等が泊まるようなホテルなんでしょ、中学生の団体客なんているんスか?」
菅谷くんの疑問もごもっともだが、烏間先生は眉間にシワをよせて続けた。
「聞いた限り結構いる。芸能人や金持ち連中のボンボン達だ。王様のように甘やかされて育った奴等は…あどけない顔のうちから悪い遊びに手を染める」

その言葉に応答するように殺せんせーも笑った。
「そう、だから君達もそんな輩になったフリで…世の中をナメてる感じで歩いてみましょう」
殺せんせーの言葉に皆は一瞬固まった後。

ずんずんと人をナメた様な顔と歩き方をし始めた。
「そうそうその調子!!」
「この調子…か? あとおまえまでナメるな」
殺せんせーは横縞の模様を浮かべて笑う。皆はちょっとだけバカっぽい表情をして歩く。いかにも悪いことをしてそうな団体。
「ただし…我々も敵の顔を知りません。敵もまた、客のフリで襲って来るかもしれない。充分に警戒して進みましょう」

……そうだ、皆にとっては未知の敵…
「……はい!」
それでも皆は元気に返事をした。流石E組、と言うべきかな。



「ところで悪い遊びって酒とかタバコとか?」
道中、馬鹿な顔をしているのも飽きるので雑談をしだした。
「そーだよねー、あとは麻薬とか?」
「えっ、麻薬って子どもでも手に入るの!?」
「普通じゃ手に入らないでしょ……」
とかそういう会話。
「悪い遊びかあ……」
「なに、京香した事あるの?」
イケメグがこちらをちらりと見て言った。
「いや、昨日間違えて酒飲んだ事思い出した」
「なんで?」
「透明でさ、水と間違えて飲んじゃったんだよね…結構度数高くて1杯で倒れたわ。しかも苦いし……」
「それ途中で気付きなよ!」
イリーナ先生と烏間先生とのそうめんパーティがもう随分前の事のように思い出される。この24時間色々な事があったからな……。
「二日酔いとかはないから大丈夫!」
「もう、気をつけてよ! 京香の事頼りにしてるんだから」
頼りにしてる…か。

「ありがとう」

嬉しいけど、もし私がこの先のことを知らないただの生徒だったとしたら。

きっと、何も頼りになんてなってなかった。
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