第13章 pray
年が明け、ツアーも最終公演を残すのみとなった。俺とニノと相葉くんの3人で控え室でツアーを振り返る。
「あっという間でしたね」
「毎年思うよなぁ、作るのは大変だけど始まっちゃうと終わるまでが早い」
「ほんとにねぇ、俺と翔ちゃんはやっと踊り覚えたんだからさ、もっと長く公演やりたいよねぇ」
「そんなに長くやってたら体力持ちませんよ」
呆れたように言うニノ。
「もぉ、実際無理なのはわかってるよ~、終わるのが寂しいって思っただけでしょ?ニノちゃんてば冷たいなぁ」
「すみませんね、冷たい人間で…優しい人に慰めて貰ってください」
ニノが少し拗ねたように見えた…おいおい、喧嘩とか止めてくれよライブ前に…しかも今回、おふたりさん超息を合わせなきゃ駄目なパフォーマンスだろ、と思っていたら
「え~、じゃあニノちゃんが慰めてぇ」
相葉くんが背後からニノに抱きついた。途端に真っ赤に染まるニノの顔。
「な、なんで俺が!」
ニノが相葉くんの腕から逃れようとジタバタもがいてる。
「だって俺が知ってる中でニノが一番俺に優しいもぉん」
優しくそう囁くとニノは俯いて大人しくなった。
「…ごめん、相葉さん…」
「俺こそごめんね、思ってもいないのに冷たいなんて言っちゃって」
相葉くんの腕の中で首を横に振るニノ…無言で相葉くんの方に向き直り抱きついた。
ほんとだ、相葉くんといるニノ凄く可愛い…そうさせてるのはニノの全てを受け止める相葉くんの包容力の大きさなんだろうな。
そんなふたりの微笑ましいやり取りを見て俺は控え室を後にした。お邪魔しちゃ悪いよな…少し体温めておこう。そう思って向かったのはアップ用に用意された部屋。ドアノブに手を伸ばすと中から話し声が聞こえた。
「え!マジで?」
「うん、マジで」
この声、智くんと松潤?嬉しそうな松潤の声に何となく入るのが躊躇われ手を止めて中の様子を伺った。