第9章 言葉より大切なもの
〈翔サイド〉
こんな前から好きだった?
これって10年以上前の写真だよ?
そんな前から俺の事好きでいてくれたのに俺は気が付かずにいたんだ…
ずっと側にいて笑い続けていてくれたのに…
他のメンバーは気づいていたのに…
智くんの優しさが当たり前過ぎて気が付かないでいたんだ。
ニノが智くんの事を考えてみてくれって言った意味が分かった。
智くんは10年以上俺の事を想い続け優しさに満ちた愛情を注いでくれていたんだ。
今日の事だってそう…智くんの方が辛いはずなのに俺の事を考えて距離を取ろうとしたし、俺が側にいて欲しいと言えばそうしてくれると言う。
なのに俺はあんな短時間で答えを出してしまった…
「智くん、ごめんね…」
申し訳なくて智くんの顔を見ることが出来ない。
「どうしたの、また。翔くん、今日は謝ってばかりだよ」
「だってこんな前から想ってくれてたなんて…」
「ちょっとしつこいでしょ?」
「ううん、ありがとう。こんな俺を好きでいてくれて…」
「お礼言われると恥ずかしいんだけど…
勝手に翔くんの事好きになっただけなのに」
智くんの顔を見ると少し照れたように笑ってる。
「智くん。俺、智くんの事ちゃんと考えてみる
智くんの望む答えは出せないかも知れないけど、でもこんなにすぐ答えを出しちゃいけない気がする
だから少し待ってて」
そう言うと智くんはちょっと驚いた顔をした。
「ありがと、翔くん
その気持ちだけで嬉しいよ
だから無理しなくていいからね?」
智くんが頭を撫でて微笑んでくれた。
その優しい笑顔にちょっとドキッとした。