第9章 言葉より大切なもの
〈智サイド〉
翔くんが側にいて欲しいと言う。
翔くんにそんな風に思われてたんだ。
翔くんはいつもひとりで頑張っていると思ってたけど、こんな俺でも力になれてたんだ…
だったらもういいや…
翔くんの特別な存在でいられるのなら、それだけで充分だよ。
この先ずっと翔くんが俺を必要としてくれるうちは、隣で笑い続けるから…
翔くんを悲しませるような事もうしないから。
「分かったよ、じゃあ今まで通りにしよう
俺は元々翔くんに気持ちを伝える気はなかったんだし、元の関係でいる事がお互いの為なんだと思う。」
そう言うと翔くんは笑顔で頷いた。
「すみません、大野さん、櫻井さん。準備出来たんで撮影の方始めさせて頂きますね」
「はい、お願いします」
「よろしくお願いします」
「じゃあ、雑誌を見てるところ何枚か撮らせて貰うんで、おふたりで適当に話ながら見てて貰えますか」
「「はい」」
翔くんはさっき見ていた雑誌を再び手に取り
「ねぇ智くん、この写真なんで覚えてたの?」
またその質問…答えないといつまでも追求されそうだな…
かと言って、カメラマンさんに聞かれてもなぁ…
しょうがないから翔くんの耳元に手を当て小声で話した。
「その時既に俺翔くんのことが好きで
超ドキドキしたから」
翔くんの顔を見ると驚いてた。
「こんな前からなの…」
「そうだよ?やっぱり引くよね…」
翔くんは首を横に振っただけで何も言わなかった。