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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第24章 二つ島~治療~ ★


小さく身動ぎながらも、いっこうに目覚める気配のない沙羅。
微睡む姿に、愛おしさがこみ上げる、が、抜糸をしたままではいずれ傷口が開く。
「沙羅・・・」
そろそろ起こそうと机から立ち上がったマルコは名前を呼びながら近寄り、そっと頭を撫でた。
「ン・・・」
起きたくないのだろう、イヤイヤとするように頭を振りまた眠りに落ちていこうとする。
その子供のような反応は、自然とマルコの欲望を癒やしていく。
寝顔を眺めるマルコの目尻が緩りと下がる。
「・・・」
マルコはベッドの横にあぐらをかくと、沙羅の顔の横に、腕枕をした自身の顔を寄せた。
「沙羅」
戯れるように空いている左手で、沙羅の目尻や頬を撫でる。
「沙羅・・・」
「ん・・・」
柔らかな耳たぶをマルコの指が楽しそうに戯れる。
「沙羅、そろそろ起きねぇかい?」
「・・・・・・ン」
マルコの眼前に小さな小さな海が産声を上げる。
「沙羅」
その海にマルコは優しく声をかける。
小さな小さな海は、時々引きながら少しずつ広がっていく。
寄せては返す潮騒のように。

“沙羅は海だ”

もう、何度となく抱いた(イダイタ)思い。
それも深い深い海溝を抱える、神秘に満ちた海だとマルコは思っていた。
少女のようでありながら、一角の男達を魅了する大人の女。
マルコが少し力を入れれば壊れてしまう程に弱く、
それでいて、クザンと渡り合える程に強い。
豊かな恵みをもたらしながら、全てを飲み込む力をもつ海。
その海が、瑠璃色の海がマルコをぼんやりと見つめた。
「・・・・・・」
「おはよう、かねい?」
「・・・ぉはよう」
まだ頭が働かないのだろう、鼻と鼻が触れる程の距離のマルコに、ほわりと笑顔を浮かべてされるがままの沙羅。
「綺麗な色だよい」
その瞳に触れるかのように近づければ、マルコの指を沙羅の睫毛がくすぐった。
「・・・・・・」
一気に意識が覚醒したのだろう、真っ赤になり微動だにしない沙羅。
マルコはじっと瑠璃色の瞳を見つめた。
そのまま、左手の薬指の腹を目尻に触れさせ、その手を頬に沿わせた。
「好きだよい」
瞬きを忘れる沙羅の瞳。
「・・・あ・・・ありがとう・・・」
“瞳を好きと言ってくれて”の意が添えられた返事。
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