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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第24章 二つ島~治療~ ★


一時間程経っただろうか。
「・・・ン・・・」
覚醒しつつあるのだろう。
タオルケットの中で身動ぐ(ミジログ)沙羅に、マルコは書類を書く手を止めた。
「・・・」
熱っぽくもせつなげに沙羅を見つめるマルコ。

転院三日目、つまり先程治療を始める前に沙羅から告げられた言葉。
『縫い口が痛いから抜糸してほしい』
すぐに嘘だとわかった。
傷口はまだ再生をはじめていない。やっと裂けた皮膚がつながったか否かだ。
それでも抜糸してほしいという理由。
それは、傷を一気に治そうとしているからだ。
海神族である沙羅は海に入れば自分の再生能力を格段に高められる。
だが急激に再生される傷口は抜糸をしておかなくては、糸が食い込んでしまう。
もちろん傷を早く治すためだけなら、マルコとて反対しない。
マルコが反対し、沙羅がマルコを騙すには理由があった。
格段に高められる再生能力はあくまでも、高められるだけだ。
むき出しの傷口のまま海に入ればどうなるか。
それは、海賊であればだれもが知っていたいる痛み。
だからこそ、マルコは表面が治るまで待つべきだと言ったのだ。
が、沙羅はその痛みを我慢してでも傷を治したい理由があった。

"耐えられない"

それが沙羅の本当の理由だった。

これ以上、

"マルコの治療に耐えられない"

まだ、男を知らない沙羅にとっては治療と称して与えられる感覚は未知のものであり罪悪感を伴った。
マルコは真面目に治療してくれているのに、体がどんどんおかしくなっていく。
まさか、マルコが自分の体を弄っているとは想像だにせず。
マルコの指が触れると体の中が熱を持ち、疼くような感覚。

“もっと触れて欲しい”

マルコが密かに背中に舌を這わせた時、湧き上がった感情は沙羅にとっては罪深く、羞恥を伴った。

“このままではおかしくなる”

追いつめられた沙羅は、痛みを伴う再生であっても海に潜ることを選んだのだ。
それに気づいたマルコは罪悪感と征服感という相反する感情を抱いたのだった。
「・・・」
タオルケット越しに見える沙羅の曲線を描く体。
娼婦のような豊満な体ではない。
だが、見て、触れて、感じてしまったら欲望は増すばかりだった。
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