第24章 二つ島~治療~ ★
「・・・ッ~」
まだ治っていない傷口の抜糸だ。
相当痛いだろう。
体を震わせながら、上がりそうになる悲鳴を必死に抑える姿が意地らしい。
極力痛みを与えないように、マルコは細心の注意を払いながら器具を動かした。
時間にすれば、数分。
だが、いつ訪れるかわからない痛みに耐える時間はとてつもなく長く、深い疲労感を感じずにはいられなかった。
「終わったよい、お疲れさん」
マルコの声に、自身の恰好も忘れ、ぐったりとベッドに突っ伏す沙羅。
その背中にふわりとタオルケットをかけると、優しく頭を撫でたマルコ。
「少し休んだら夜島へ、行くよい」
「え?・・・」
「海、潜るんだろい」
マルコの言葉に一瞬目を瞬かせた後、まだほんのりと涙目の瑠璃色を嬉しそうに揺らす沙羅。
「っ・・・、シャワー、浴びてくるよい」
「うん」
微かに息を飲んだ後、伏し目がちに言葉を発したマルコに少しだけ違和感を感じつつ沙羅は、抜糸の疲労感に体を預けていった。
「・・・ぁはッ・・・ック・・・」
シャワーの音に、マルコの艶めいた吐息が混ざる。
それは決してシャワールームの外には漏れ出ない、微かな微かなもの。
マルコは、はち切れそうに起立した自身のモノを、自らの手で発散させていた。
その目は固く閉じられている。
以前ハルタは、隊長達は沙羅を夜のおかずにしている言った。
他の隊長達はわからないが(イゾウやサッチは確実にしているとわかるが)、マルコは、まさにであった。
いや、夜だけではない。
戦闘後の興奮した時も、
酔った時も、
もちろん沙羅自身に興奮した時も。
数え切れない程、マルコは脳内で沙羅を抱いていた。
今思い出されているのは、この二日間の濃密な時間。
それこそが、沙羅が追いつめられ抜糸を決意した原因だった。