第23章 二つ島~危機~
そんなマルコの反応を、白ひげの周りに集結した隊長全員がこらえきれないと言わんばかりに笑いながら眺めている。
「マルコ、お前ぇ欲しいものがあったよなぁ」
隊長達に負けず劣らずの笑顔を浮かべた白ひげに、マルコは驚いた様子で、が努めて冷静に言葉を返した。
「・・・あぁ、だがそれは全員が納得して・・・」
「この野郎ぉ、明日から独り占めかぁ~!?」
いきなりラクヨウから野次が上がった。
「怪我が治らない内は、手ェ出さないでよね」
ハルタのにやにやとした笑み。
「まぁ、文句のつけようがないな」
ビスタの言葉にジョズとクリエルが頷く。
「無茶はさせるなよ」
フォッサの言葉にナミュールとスピード・ジルが頷く。
「俺は初めから賛成だったぜ」
キングデューが言えば、アトモスとブラメンコも頷いた。
「あ~あ、俺の天使が・・・」
サッチが涙を拭う仕草をした。
「お前のものだった時があったのか?」
ブレンハイムが呆れたように言いながら、マルコに笑顔を送った。
「最初から最後まで、てめぇのじゃねぇよ」
イゾウの絶対零度の視線がサッチを凍らせた。
「イゾウ・・・」
どう答えたらいいのか戸惑うマルコに、イゾウは口角をあげてみせた。
「泣かせたら、即、返して貰うぜ」
イゾウの瞳がマルコを射貫いた。
「泣かせねぇよ」
マルコはまたイゾウを射貫くように見返した。
隊長達からの是の言葉に、白ひげの口元が弧を描く。
何事かと様子を伺っていた仲間達の耳に白ひげの嬉しそうな笑みが届く。
「野郎どもぉ、今回のマルコの武勲を称えて褒美を取らせる」
白ひげの声に賛同するように、囃し立てる声や口笛が響き渡る。
「褒美は・・・マルコがずっと欲しかったものだ」
勿体ぶった物言いに、鈍い者は首を傾げ、鋭い者は苦笑いを浮かべた。
「沙羅を一番隊副長に任命する!!」
瞬間、隊長達が次々に声を上げた。
『宴だ~!!』『祝い酒だ~!!』『飲むぞ~!!』
モビーディック号は一気にお祭り騒ぎになった。