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幸せになりたい!『刀剣乱舞』

第3章 第三章


苦笑いを浮かべて頬をかいた私に、穏やかな表情で目を細めて口元を上げた蜻蛉切さんがいる。蜻蛉切さんは自分の事を話そうとはせず、私が話す言葉を頷いて聞いておりこの人はとても聞き上手なんだなと安心出来た。それに無理に酒を薦めて来る訳でもなく、ただ本当に私の話しを聞きたいという気持ちが凄く伝わって来た。だからなのか色々と質問されたり、手の怪我は大丈夫なのかと心配する言葉も聞き取れた。

「それがですね、驚く事が多くて痛む事をすっかり忘れていました。全く可笑しな話しですよね?自分の能天気さに呆れてしまいます」
「いえ、決してそのような事は…ただ自分が聞くに主は真っ直ぐで、なによりお優しい。きっとこの薄暗い本丸を明るく照らしてくれるような存在だと感じました」
「!…そんな事、蜻蛉切さんは買い被り過ぎですよ?私はまだここに来て日が浅いですし、皆さんと少しでも距離を縮められて仲良くなれたらいいなと思っただけで…」

しかし私はふと考えてしまった。色んな刀剣男士達と話しをしていて仲良くなるのはいい事だが、彼らは男性や男の子である。主という立場だから仕方がないとは思いたい…けれど、これではまるで尻軽のビッチだと思われても仕方が無いのではないだろうかと思ったのだ。

「うーん…」
「どうなさいました、主」
「自分の主がもしもビッチ…いや、例えばの話しですが。売女だったとして…仕えたいと思いますか?」

私の言葉に少し晴れやかな空気がピシリと凍り付きまた静まり返った。ガシャン!パリン!という割れた音やコポコポコポ…と酒が流れ出て和風の長テーブルに広がって行く。ぽたぽた…と酒壺や酒瓶が床に転がり畳を汚して行った。これは明日誰が掃除するんだろうかと私は苦笑いする。

「あ、主…自分は…」
「いや、もしもですからね?ただ尻の軽い女が自分の主だなんて…仕えたいとは思わないでしょうし」
「そのような事は!」

蜻蛉切さんはなにかフォローを入れようとしているが、上手く言葉が出ないように思えた。やはり私は少しばかり自重した方がいいのかも知れないなと考える、いつも後先を考えず身体が先に動いている事が多い。なので今日ここに来てズカズカ勝手に彼らの間合いに入り、滅茶苦茶な命令をしたりと…口には出さないが結局私は迷惑を掛けていたのではないだろうかと思う。

「ぁああーもうっ!」
「あ…主。一体どうなされました」
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