第6章 赤い人
「お前、酔ってるだろ?」
そう言いながらも私の頭を撫でてくれるんだから、優しいですよね。
「んふふ~、酔っていましぇんよ~」
むーん、エースにはいつも猫の姿で撫でられていますから、今度は別の人に撫でてもらいましょう!
誰にしましょうか?
うーん、ジョズさんやマルコさんあたりでしょうか?
それともハルタくんやイゾウさんあたりでしょうか?
でも、猫の姿になると皆さん構ってくださいますし…
そうだ!
「お父さーん」
エースから離れて、いまだにシャンクスとお酒を飲んでいるお父さんのところに行きました。
「あ、おい!アリス!」
エースが名前を呼んでいるのを思いっきり無視して、お父さんに近づくと私に気が付いてくれました。
「グララ、どうした?アリス」
私はそのままお父さんの膝の上に登って顔を見合わせるような体制を取りました。
お酒が入っていた大きなコップを床に置いてこれまたⅣ大きな手で私の頭を数回撫でてくれます。
うーん、エースに撫でられるのも気持ちいいですけどお父さんの大きくて暖かい手で撫でられるのはもっと好きです。
「んふふ~、もっと撫ででくらさ~い」
あれ?なんででしょう?思うようにしゃべれなくなってきました。
それに、なんだかお父さんが何人も見える気がします…
「おとうしゃんがひとぉり、ふたぁり…えへへ、いっぱいいりゅ~!」
楽し~!と一人バタバタと白髭の膝の上で暴れているアリスを見て白ひげは一つため息をつく。
「やれやれ、どうしようもない娘だな」
「はっはっは、かわいいじゃねぇか!」
シャンクスは面白いものを見たかのように大笑い、見かねたマルコが白ひげに近づいた。
「オヤジ、俺が部屋に運んどくよい」
マルコはアリスを運ぼうとすると
「いやっ!」
ポンッと音を立てると同時にアリスは子猫の姿になり、シャンクスの服の中に潜り込んだ。
胸板から顔が出ている状態だ。
本来ならかわいらしい状態なのだが、マルコは内心穏やかではない。