an inseparable twosome~ずっと昔から~
第1章 1 出逢い
カーテンの隙間から朝の太陽の光が漏れてくる。
その眩しさに目が覚める。
『あ……また今日も…だ』
ここ最近ずっと同じ夢を見ている。
なにか知っている気がして、だけど分からなくて。
見たあとは必ず涙が出ている。
『……誰…なんだろう』
声も背丈も覚えているのに、顔だけがみえなくて。
いつもみえるのは、黒い帽子のようなもの。
そして平安時代に着ていそうな着物。
このモヤモヤした気持ちが今年になってからずっと晴れないでいる。
全く同じ夢をずっと。
母 「陽菜ー?起きてる?そろそろ起きなさい!」
お母さんの声でふと我にかえる。
今日は学校だ。
『今行くー!!』
散らかった考えを放って、学校の準備を始めた。
リビングにはいると、いつもと同じお父さんのコーヒーの匂いと、朝食のパンの匂いが鼻にすーっと入ってきた。
父 「おはよう。」
母 「おはよう!」
『おはよう』
いただきますって3人で言って、朝ご飯を食べ始める。
朝からたくさんは食べれないので、食パン半分とヨーグルトを食べ、砂糖大さじ4も入ったコーヒーを飲む。
高3のお兄ちゃんは、私が出る時間に起きてくる。
それで遅刻していないのだから不思議だと思う。
『ごちそうさまでした。』
慌てはしないけど、ちゃんとお昼ご飯のお弁当を鞄のなかにいれて、忘れ物がないか確認する。
『いってきます!』
母 「はーい!行ってらっしゃい!」
家のドアを開けて、一歩を踏み出していく。
幼馴染みで親友の遥香との待ち合わせ場所に行く。
「陽菜~!!おはよー!!」
『遥香おはよう』
「ねえ聞いた!?今日の国語、漢字テストあるって!」
『うん!知ってるよ!昨日先生言ってたから』
「えぇ~!?知らないよーー!!」
こんな何気ない会話がすごく楽しくて。
遥香といれてよかったなと思ったりする。
でも、少しずつ自分の回りが変わってきていることに私はまだ気づいていなかった。