学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
「!なんて羨ましい光景だ…ここは天国か」
「ナミ屋、勝手にセナに触るんじゃねェ」
サンジは何処か羨ましそうな声音で、目をハートにして目の前の光景を呆然と見つめている
対してその隣にいるローは、眉間に縦じわを刻み込み不機嫌な顔でナミに抗議の声を上げた
「あら、私たち親友同士だから。なんてことないわよねぇ、セナ?」
「う、うん…?」
「あ、そっか記憶がないんだった」
ナミの豊満な胸の間で窒息しないように顔を上げたセナが理解しきれていないように視線を泳がせる
同性同士とはいえ、なんだかこの状況が気恥ずかしくてほんのり頰を朱に染めた
“ーROOM”
突然地を這うような声が聞こえたかと思えば、ナミとセナの周囲を半円状のドームが出現する
こちらを睨んでいるローがサンジの首に腕を回した
「シャンブルズ」
ローがクルリと手首を捻れば、一瞬にして場面が切り替わる
セナの目の前にあったはずの豊満な胸が消え、いつの間に厚く堅い胸板と逞しい腕に羽交い締めにされていた
「?!?!」
状況が上手く飲み込めず、言葉を失いキョロキョロと視線をさ迷わす
そして目に留まった光景に、さらに驚いた
確かに自分の居た場所には、何故かサンジの姿があり
その刺激的な状況に、鼻血を噴水のように噴き出して、サンジは卒倒してしまった
「ナミすぁ…ッッ!!」
「なに、これ」
思うに、自分とサンジの居場所が一瞬にして入れ替わったのだ
それはきっと、先ほど聞こえた声やローの動きに関係している
普通の人間に、こんなことが出来るわけがない
「あなたは、」
"何者?"と言葉を続けようとして、首に回っていた腕に身体を引き寄せられた
声を発する間も無く、唇に暖かく柔らかいモノが触れる
「っ!」
ドンッ
何が起きたのか理解するのと同時に、思わず触れた唇を噛み
突き飛ばすように腕を突っ張った
「ッチ」
口の中にじんわりと広がる鉄の味に、不愉快な表情を浮かべたロー
しかし腕のリーチの差か力の差か、2人の距離はさほど離れなかった
静かに見下ろすローの怒りを垣間見た気がして、セナはどうにか逃がれようともがく
「ご、ごめんなさ…」
怒りを湛えたローに腕を掴まれ、涙を浮かべるとか細い声で謝罪を口にする
ローが血の滲む唇をペロリと舐めた