学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
「??そんなこと」
「じゃあお前は今この場で何故1人の人間しか知らねェんだ?」
「それは、」
「此処はお前のクラスだ。そしてこいつらはお前らを知っている。それなのに、お前は知らない…おかしいと思わねェのか」
矢継ぎ早に言葉を連ねられると、返す間も無く言葉を飲み込むしかなくなってしまう
しかしローの言うことは正しかった。言われてみればまるで自分だけ取り残されているような空気感
決して疎外感ではなく、何かがセナの中で確実に欠落している
それは自分だけが宙に浮いているような感覚
記憶がない、という言葉を受け止めることしかできなくなる
それがなんだか腑に落ちたことで、現実をまざまざと突きつけられたようで気持ちが沈む
『私の記憶は…戻るの?』
ドゲシッ
ざわざわとした不安にぼぅっとしていると、鈍い音が聞こえて現実に引き戻された
すると目の前で此方を見ていたはずのローが前屈みになって、その背中に誰かのカカトが乗っている
視線だけでその人物を辿ると、金髪にぐるりと巻いた眉が特徴的な金髪の生徒が笑顔でこちらにヒラヒラと手を振っていた
「セナちゃん!もう大丈夫、俺がコイツ懲らしめとくからよ!安心してくれ」
「へ?あ、はい…?」
ローの背中を踏みつけながら、その顔は実に紳士的でさわやかな表情である
「おい、足を退けろ。黒足屋」
長くスラッとした足の下で、ローが苦虫を噛み潰したように表情を歪めて唸っていた
首を捻って、サンジを睨みあげている
やれやれと肩を竦めて、サンジはゆっくり足を降ろした
ついでに背中を軽く叩いてやる
「混乱してるセナちゃんを困らせてどーすんだ。気持ちは分かるけどよ」
「別に困らせてねェ…」
「現に困った顔してんじゃねェか!」
「あれはどう考えてもお前のせいだろ!」
目の前の2人の様子を困ったような、不思議そうに見つめているセナに視線を投げかけたサンジに
ローが思わずツッコミを入れた
「あの、私別に困っては…」
「ハイハイ、アンタたちそこまで!」
パンパンッと手を打って、ナミが3人の間に割って入る
主にセナを庇うように、男2人に対峙して腰に手を当てた
「どっちもどっちで、困らせてることに変わりはないわね」
ハァッとわざとらしく溜め息を吐いて、セナを振り返ると胸に抱きしめる