学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
「「そのセリフはやめろー!!」」
「ふぇ?!」
思わずその場に居た全員が声を荒げて突っ込んだ
しかし時すでに遅く
「シロクマが喋ってすみません…」
ガラスのハートの持ち主であるベポは、ガックリと項垂れて肩を落とした
そのことに目を丸くして固まるのはセナ
「う、打たれ弱い…」
「打たれ弱いクマですみま「あーもういいもういい!ベポこっち来い!」
「悪いなセナ」
落ち込んだシロクマはシャチとペンギンによって回収された
中途半端に取り残されたセナはどうしていいものかと唯一知り合いであるキッドに助けを求める
しかしキッドも先ほど事情が分かった程度で、説明するには情報が不足していた
けれど現状、セナの記憶を繋ぐ手がかりはキッドのみである
痛いほどの視線を浴びて、キッドは堪らず大げさに溜息を吐いた
「俺に聞くんじゃねェよ…そこの目付きの悪ィ男に聞け」
「……目付きの、悪い…?」
キッドが顎をしゃくって示した方向を見回すが、そこにいるのはセナからすれば知らない顔ばかり
さらに目付きの悪い、という条件がほぼほぼの面子に当てはまる
「そこにいるじゃねェか。凶悪なツラした、隈の濃い男が」
「テメェにだけは凶悪なツラとか言われたくねェ」
「あの、私のこと…何か知ってるんですか?」
キッドの例えに自分かと思い当たったローが、苛だたしげに口を挟む
そんな2人のやり取りは気にせず、セナは声がした方を向くと、やはり不思議そうな顔をして話しかけた
「…お前の名前は」
「へっ?」
視線がぶつかったと思った瞬間、なんの脈絡もなしにそんな質問をされて、思わず間抜けな声を上げる
「答えろ、お前の名前はなんだ」
「え、と…」
質問の意図が分からず、答えるべきなのかを考えたいたのだが
こちらをまっすぐ見つめてくるローの瞳が、一切のからかいなどを含んでいないことが分かり恐る恐る口を開く
「白石 セナです…」
「今日の日付は分かるか?」
「12月、17日…?」
「年齢「ちょ、ちょっと待ってください!この質問の意図はなんですか?!」
いきなり不躾にも程がある上に、質問の意味が分からず言葉を遮った
すると今度はローが不思議そうに少しだけ目を見開く
「お前は、階段から落ちて本来あるべき記憶を失っている」