第27章 小さな太陽と大きな背中
影山が日向君と一緒に少し残って自主練をしたいって事で、私は家まで送ると申し出てくれた菅原先輩を押し切り、1人いつもの道を歩く。
帰る途中、防犯灯が切れていて暗い道を歩く事にはなるけど、いろいろと考え事をしたい私にとっては特に気にもならなかった。
考えたい事は・・・
それは専ら、東峰先輩の事で。
横断歩道が赤になる事も、より考える時間が増えると思って、ここぞとばかりに思案する。
どうしたら、部活に来て貰えるようになるんだろう。
そればかりがグルグルとまわり、答えが出ないまま・・・また、信号で足を止める。
誰かに相談・・・って言っても、私の身近にエーススパイカーなんていな、・・・
・・・いた!
あ、でも・・・さすがに今は聞けない、よね。
だけど、このままじゃイケナイとも思うし。
東峰先輩、きっと戻るキッカケが出来たら・・・戻って来てくれると思うんだけどな。
小さな希望を考えながら、東峰先輩の事を思い浮かべてみる。
・・・私が知ってるエースとは、タイプが違いすぎるよなぁ。
視界の端に大通りに設置してあるベンチが目に留まり、そこに腰を落とす。
ちょっと、頭の中を整理しよう。
じゃないと、ごちゃごちゃになり過ぎて、大事なことを見落してしまいそう。
まず、東峰先輩は烏野バレー部のエースでチームには欠かせない存在で。
いま、東峰先輩の代わりになる人はいない。
澤村先輩もガラスハートだとか笑って言ってても、本当は芯の部分を信じてる、と思う。
それに、西谷先輩だってあんな風に苛立って怒っていても、絶対的存在だと思っているからこそのモヤモヤ感とかを抱えてるんだと思う。
・・・リベロに点は稼げない。
だからこそ、その1球を拾って希望や望みを・・・エースに繋ぐ。
影山が入部する前の大会での出来事だったら、西谷先輩が拾ったボールをエースに繋いでいたのは、菅原先輩・・・
その菅原先輩も、あの話し方の感じだと東峰先輩が部活に顔を出さなくなった事に、少なくとも何か責任を感じていて、胸を痛めてる。
そして、理由は未だに分からないけど。
東峰先輩は自分からみんなやバレーに対して距離を置いて・・・
・・・自分から、距離、を?
あれ?
そう言えば澤村先輩が確か・・・東峰先輩の事をチラッと聞いた時に、私に似てるかもな・・・って言ってた。
