第27章 小さな太陽と大きな背中
・・・はぁ。
体育館の端に座り込んだまま、ため息が何度も出る。
さすがに夕方になると、お腹が空いて来ちゃうなぁ。
でも、この山を超えれば・・・私の未来は明るいはず!
でもその前に、東峰先輩の事があるんだよね。
どうして部活に来なくなったのかは、澤村先輩達も詳しくは教えてくれない。
ただ、菅原先輩からは、ある試合で何度も何度もスパイクを止められて、結果・・・その試合は勝てなかったって聞いた。
もしかしたら、その試合の事で何か気持ちに躓いている・・・とか?
いや・・・でも・・・
自分を東峰先輩のポジションに置き換えて、いろいろ考えてみる。
何度もスパイクを打って、その度にブロックされて、それでも・・・
いまいち、ハッキリとしたイメージが浮かばない。
『う~ん・・・わっかんないなぁ、もぅ!』
思わず声を出し、記録ノートに顔を伏せる。
簡単にひと言で済ませてしまえば、それは挫折感。
だけど、なんかそれだけじゃない気がする。
それが何なのか、私にはまだ見つけられなくてモヤモヤする。
月「ポチ、いつまで座り込んでんのさ。練習、終わったけど?」
『えっ?!あ、ゴメンね邪魔になっちゃって』
考え事し過ぎてて、練習終わった事に気が付かないなんてマネージャー失格じゃん!
バタバタと手荷物を纏めて一気に立ち上がる。
あ、あれ・・・?
急に目の前が青暗くなりクラリとして、つい、月島君の体にしがみついた。
月「ちょっと」
『なんか、立ちくらみ・・・ゴメン、ちょっと寄り掛からせて?』
山「立ちくらみって、城戸さん大丈夫?!」
言葉を出すのも怠くて、頭だけをうんうんと動かした。
月「山口、手荷物拾って。ここにいても掃除の邪魔になるから、僕がアッチに運ぶ」
山「わかった」
・・・僕が、運ぶ?
『い、いや大丈夫!もう大丈夫だから!運ばなくて平気!!』
だって運ぶとか、ホントに無理!
月「その格好なら、見えないデショ。スカートじゃないんだし」
『そこの問題じゃないから!・・・あ、ちがくて、その・・・』
思った以上に大声が出てしまい、月島君にも山口君にも驚かれた。
『ごめんね、でも、ホントにもう大丈夫・・・』
月「そんな青白い顔で言われても、説得力ないから。山口、それ持って来て」
『あ、歩けるから!ホントに!』