第27章 小さな太陽と大きな背中
清「菅原。公開セクハラはやめなさい」
菅「セクハラじゃないっての、コミュニケーション!」
清水?
どうなってんだ?
それだけ言って、清水はオレ達の前を通過して行った。
『スガさん・・・教室戻るので私はこれで』
菅「送ってくよ、危ないからさ?」
『日向君がいるから大丈夫です。東峰先輩も、お邪魔しました。じゃ、行こう日向君』
「あ、あぁ・・・うん」
ペコリとお辞儀をして、そのまま2人は戻って行った。
「不思議な、子・・・だなぁ・・・」
ポツリと言葉が漏れる。
菅「いい子だよ、紡ちゃんは」
「スガの彼女か?」
さっき人目も気にせず抱き着いたりしてたし。
菅「気になる?」
「・・・いや、そういうんじゃないけど。人前で堂々と・・・とか?」
菅「あれはオレと紡ちゃんとのコミュニケーションだよ。清水や大地にはセクハラするなって怒られるけどね・・・それより、さ」
廊下の窓際に寄り、スガが空を見上げる。
菅「部活・・・来いよ、旭」
「昨日も言ったけど、それは・・・」
菅「じゃあオレも昨日言ったけど、西谷だって復活したし、影山や日向っていう面白い1年も入った。それに、今の紡ちゃんだって・・・これからのオレ達には、大事なメンバーだ」
「あの子が、か?」
でもさっき、マネージャーだって言ってたけど・・・
菅「大地がゾッコン惚れ込んで、家まで訪ねて勧誘したくらいだからね。そん時はオレもいたけどさ」
大地がそこまでして勧誘・・・
菅「だから・・・戻って来いよ、旭・・・」
オレだって、戻れるものなら・・・
だけど、オレはもう・・・何度スパイクを打っても壁に阻まれるなら、打てないんだよ。
「教室、戻るから・・・」
菅「旭・・・」
スガが呼び止めるのも振り向かず、オレは教室へと戻った。
バレーが・・・嫌いになったっていう理由なら、納得してくれるんだろうか。
そんな逃げ道を探しながら、オレは黙って席に座った。